商業施設新聞
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No.930

有名海外チェーン、ついに日本に


安田遥香

2023/11/7

 ここ2~3カ月、海外の外食チェーンが日本で初めて出店する事例が続いた。海外勢の進出が日本の市場にどのように、またどれくらい影響を与えるのかが注目される。

 8月、ロンドン発のカフェチェーン「COSTA COFFEE」(コスタコーヒー)の日本1号店が東京・渋谷にオープンした。コーヒー自体はすでに日本で流通しており、日本コカ・コーラ(株)がペットボトル飲料を販売してきたほか、2020年にはホテルやレジャー施設などでコーヒーマシンの導入が始まった。実店舗こそなかったが、日本でも一定の認知度はあるだろう。

 しかし、海外における店舗の多さは目を見張るものがある。筆者は夏季休暇中にロンドンに旅行したのだが、スタバの10倍はあった(体感だが)。調べてみると、世界45カ国で4000店近くを展開しているそうで、そのうち発祥の地であるイギリスとアイルランドでは2800店以上を出店しているという。なるほどロンドンでしょっちゅう見かけたわけだ。そしてそれを聞くと、これまで日本に出店していなかったのが意外に思える。

 帰国後、早速渋谷の1号店に行ってみた。甘いものが好きな筆者は、エスプレッソとチョコレートミルクが組み合わさった「アイスモカ」を注文した。コーヒーの苦みとチョコレートの甘さ、ミルクのクリーミーさがちょうどいい塩梅でマッチしていて美味しかった。値段はSサイズで530円と少々高めだが、「日本で初めてのコスタコーヒー」という体験に価値を感じたのでそれほど気にならなかった。ちなみに最も安いメニューはいずれもSサイズ390円のドリップコーヒーとアイスコーヒー。日本市場ではベローチェやドトールよりもタリーズやスタバが競合となりそうだ。

マムズタッチが日本で開いたポップアップストア
マムズタッチが日本で開いたポップアップストア
 そして、10月には韓国のハンバーガーチェーン「MOM'S TOUCH」(マムズタッチ)が日本初上陸した。10月20日から11月9日までの期間限定で渋谷にポップアップストアを展開している。恥ずかしながら筆者はその存在を知らなかったが、韓国ではマクドナルド(400店)やケンタッキー・フライド・チキン(190店)、そして同じく韓国を拠点とするロッテリア(1286店)よりも多い1408店を出店しており(23年6月時点)、同国ではNo.1のハンバーガーチェーンなのだそうだ。

 韓国といえばチキンのイメージがあるが、マムズタッチはまさしくチキンバーガーの先駆者だ。看板メニューの「サイバーガー」は鶏もも肉を丸ごとパティとして使用。パティは注文後に店内の厨房で調理し、できたてを提供する。

 サイバーガーを試食したが、サクサクとした衣に包まれたジューシーな鶏肉が癖になる。それでいて飽きが来ず、最後まで新鮮な旨味を楽しめた。その分厚さからさぞ高級なハンバーガーなのかと思ったが、お値段はなんと370円。このボリュームでこの値段、非常にコスパが良い。

 マムズタッチはポップアップの反響次第で日本への本格進出を検討し、順調に進めば24年に1号店をオープンさせたいという。日本での展開に際してはパートナー企業を選定する予定だが、これが日本進出を成功させるカギとなりそうだ。コスタコーヒーは、ファミレスチェーン「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングス(株)と総合商社の双日(株)による合弁事業会社(双日ロイヤルカフェ(株))が運営。順調に出店を推し進めている。マムズタッチが優れたパートナーを見つけ、日本に浸透することを期待している。
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