商業施設新聞
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No.470

大阪府で大型開発が再開


岡田 光

2014/8/26

 「元気がない、活気もない」と、ここ数年言われ続けてきた大阪府だが、ようやく明るい兆しが見えるようになってきた。今年に入って、「よみうり文化センター(千里中央)」の再整備事業や「(仮称)中之島フェスティバルタワー・ウエスト」の建設がスタートしたが、ここにきて、三井不動産(株)の大型複合施設「(仮称)エキスポランド跡地複合施設開発事業」や、イオンモール(株)のショッピングセンター「(仮称)イオンモール四條畷」も着工を迎えることになった。今秋には「梅田1丁目1番地計画」も解体工事に着手する予定で、大阪府内において、久しぶりに大型商業施設の開発案件が勢揃いする。

今秋に解体工事をスタートさせる「梅田1丁目1番地計画」
今秋に解体工事をスタートさせる
「梅田1丁目1番地計画」
 口火を切ったのは、阪神電気鉄道(株)と阪急電鉄(株)が計画する「梅田1丁目1番地計画」だ。3月に計画の詳細を発表。大阪神ビルディングと新阪急ビルを解体した跡地に建設する新ビルは、敷地面積約1万2200m²(重複利用区域を含む)で、S一部SRC造り地下3階地上38階建て延べ約25万7000m²の規模を想定している。総事業費は約900億円。
 新ビルの構成としては、地下3階が「その他(駐車場、共用通路など)ゾーン」(延べ約1万3000m²)、地下2階から地上9階までが「百貨店ゾーン」(同約10万m²)、10階は機械室、11階は「カンファレンスゾーン」(同約4000m²)で、11階から38階までは「オフィスゾーン」(同約14万m²)となる。同計画はI期工事とII期工事に分かれており、I期工事は今秋ごろに新阪急ビルの解体工事に着手する。

 今春には「よみうり文化センター(千里中央)」の再整備事業や、「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」の建設もスタートした。建て替え後のよみうり文化センター(千里中央)は、延べ10万8716m²の規模を想定しており、商業施設と住宅施設を一体整備する方針。店舗開発にはイオンモール(株)が参画する。
 一方、中之島フェスティバルタワー・ウエストは延べ約15万432m²の規模を想定しており、地下1階から地上2階までが商業施設(約20店)で、4階に公益財団法人 香雪美術館の分館を設置。33~40階にはロイヤルホテルが新ブランドの高級ホテルを開業する。

 今年はこれらだけにとどまらない。三井不動産は7月に「エキスポランド跡地複合施設開発事業」を着工したと発表。同事業の規模は延べ床面積が約22万3000m²で、店舗面積は約8万8000m²を想定し、(株)海遊館が手がける新しいタイプの水族館や、日本最大級の観覧車などを設置する。
 また、イオンモールも、四條畷市および寝屋川市で計画中のSC「イオンモール四條畷」について、8月末ないし9月初旬に着工する予定。同SCはS造り5階建て延べ約14万7700m²で、店舗面積は約5万m²、店舗数は約170店を想定している。
 さらに、(株)ニトリホールディングスが枚方市で計画している「(仮称)ニトリモール枚方ショッピングセンター」も、環境影響評価の手続きを終え、14年9月に着工する方針だ。同SCは3棟構成の施設で、メーンとなるA棟は、延べ2万8890m²の規模を想定している。

 しかし、これだけ開発案件を並べても、地元企業からは「大阪府は元気がない、活気もない」という答えが返ってくる。確かに、オリンピックは東京都に奪われてしまい、夢の超特急「リニア中央新幹線」も品川駅~名古屋駅の区間は決まったが、名古屋駅~大阪駅の区間は中間駅も未定という状況だ。頼みの綱となるIR(統合型リゾート)も、話題だけが先行している感は否めない。三大都市圏に分類され、近畿圏の中心地でもある大阪府をいかにして活気づけるのか、事業者はもちろんのこと、大阪支局に在籍する商業記者に課せられた大きな命題と言えるだろう。
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