商業施設新聞
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No.467

夕暮れ時に博多・中洲の屋台で一杯


登坂 嘉和

2014/7/29

博多の中洲で開店準備中の屋台
博多の中洲で開店準備中の屋台
 初夏の川風に吹かれて博多・中洲の屋台で一杯という小市民の夢を実現した。福岡へ行ったのは30年以上前であったため、初めて訪れたようなものだった。滞在したのは1日半程度で天神や大濠公園、キャナルシティ博多などを巡り、グルメや歴史探訪を楽しんだ。

 キャナルシティ博多は仕事柄、色々な場面で話題に取り上げられるため、一度は行かねばと思っていた。JR博多駅から2kmほどの那珂川・博多川沿いで中洲にも近い、繁華街に立地している。施設内には人工の運河を設け、これに沿って湾曲した形状の街、商業施設に有名ブランドやファストファッションの店が出店している。休日は地元の若者やカップルらで賑わっているが、意外と観光客は中洲や天神に集まっているようだった。

 今回の旅は、屋台と博多ラーメン、黒田官兵衛の福岡城に注目した。日暮れ時に那珂川沿いの公園に出店する博多の屋台は、十数店が軒を連ねて営業しており、焼き鳥、牛スジのおでん、天ぷら、博多ラーメンなどがあり、隣の店の料理も注文できるため、ほとんどのメニューは揃っている。2~3人以上の小グループで利用するのが価格や満腹度で有利なようだ。

 福岡・博多は、玄界灘や有明海の水産物、九州各地の農畜産物が集まる場所で、特に魚介類は低価格で新鮮なものを味わうことができる。春吉3丁目の「鯖郎」は、ハーブを混ぜた餌で養殖したハーブ鯖の活け造り料理をリーズナブルな価格で提供する。夏が旬のハモも今が最高で、オーナーが厳選した日本酒や焼酎の銘酒を片手に味わうことができる。

 博多ラーメンは、3店で味試しを行った。1店目は何軒か飲み歩いた後のシメに宿の近くの店で食べた。さらに朝ラーメンでは、天神近くの有名店で味わったが、これだという印象はなかった。そして昼ラーメンで本来の博多ラーメンに出会ったと確信した。その店は、博多川の東で川に沿って延びる上川端商店街の中ほどにある「博多ラーメン はかたや」だ。ここのラーメンは豚骨スープにコシのある細麺、青ネギと至ってシンプルなつくりだが、そのスープは鶏水炊きのようなあっさりした味わいで、スープも飲み干し、毎日食べても飽きない感じがした。お客も地元の学生からサラリーマン、年配の方で賑わっているが、行列はなかった。値段はなんとラーメン一杯290円からだ。

 そして市内観光では、旧福岡県公会堂貴賓館や福岡市文学館、大濠公園などへ行った。福岡城は天守閣がなく、本丸跡の礎石だけが残り、そのシンボルを市内から望むことはできない。ただ城郭は広く高低差があり、立派な城跡の公園となっている。築城は黒田官兵衛の長男の長政(幼名、松寿丸)が1601年から7年がかりで行ったもので、多聞櫓や伝潮見櫓、下の橋大手門といった史跡が残っている。城東側の大濠公園は市民の憩いの場所として、散策やジョギング、ボート遊びなど多くの人々で賑わう一方、福岡城はNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の人気で、観光客が見物している状況である。夏休みの夕暮れ時に涼を求めて再び中洲あたりを散策したい。
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