商業施設新聞
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No.877

みなとみらい、ホテルは供給過剰?


高橋直也

2022/10/11

 毎年1月、横浜・みなとみらいの「パシフィコ横浜」で商業施設関連事業者にとってのビッグイベント「SCビジネスフェア」が開催される。過去、当紙も様々な形でかかわってきたイベントで、次回は2023年1月25日~1月27日に行われる。多くのデベロッパー、テナント企業、メーカーなどと話ができるチャンスであるため、毎年楽しみにしている。楽しみにしているのは仕事以外の理由もある。周辺の高級ホテルだ。休憩と言い張ってのティータイム、明日も来るからと自分に言い訳をしての宿泊。みなとみらいは実に楽しい。

みなとみらいでホテルの集客競争が熾烈になるかもしれない(写真はウェスティンホテル横浜)
みなとみらいでホテルの集客競争が熾烈になるかもしれない(写真はウェスティンホテル横浜)
 みなとみらいは高級ホテルが多く、周辺まで入れると「横浜ロイヤルパークホテル」「横浜ベイホテル東急」「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」「インターコンチネンタル横浜Pier8」「ハイアット リージェンシー 横浜」があり、最近では「ザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜」「ウェスティンホテル横浜」もオープンした。1つのエリアという意味では日本最大の集積具合ではないか。さらに今後は「ヒルトン横浜」が開業するほか、「フォーシーズンズホテルアンドリゾーツ」を含む国際的なブランドを誘致する計画もある。ここで職業上浮かぶ心配が「供給過剰ではないか」ということ。

 みなとみらいは海に近い開放感、良質な飲食店などがあり、人気の観光地だ。ただ以前から指摘されているが、ホテルマーケットとしては東京に近すぎる。東京駅から40分程度で着いてしまうため、東京都民が泊りがけで行く発想はあまりない。それは東京を拠点に観光をするインバウンドも同じだろう。先般、某企業にホテル関連の取材をした際、みなとみらいの話になり、やはり「少し供給過剰かもしれない」という意見が返ってきた。状況の打破には「目的性が必要になる」との話もあった。

 つまり供給過剰になっているので、みなとみらいを訪れる理由になるイベント、場所などが必要になるということだ。イベントでいえばパシフィコ横浜での展示会が該当する。また、みなとみらいでは音楽ホールも開業予定で、こうしたものも武器になる。もし横浜・山下ふ頭でのIRが実現していれば目的の一つになっていただろう。山下ふ頭はみなとみらいに近い。IRを訪れた後、みなとみらいに泊まる人もいたはずだ。ただIRは頓挫。そして代わりに別の再開発が動いている。新たな目的として期待するのはこの再開発か。

 山下ふ頭の再開発では、これまでに「企業・大学などのイノベーション施設を中心とした提案」「大規模集客施設を中心とした提案」「緑を中心とした提案」があり、導入施設としては中規模滞在型施設やリゾート型滞在施設、賑わい施設、国際展示場、コンサート・イベント会場などが挙げられている。こうした開発がどこまでの「目的性」を生むか。山下ふ頭の再開発は、みなとみらいのホテルマーケットの将来がかかっているのかもしれない。
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