先日、紙面で福岡の開発動向をまとめたのだが、改めて福岡は開発が活発だと感じる。福岡市では天神や博多の再開発が進み、そして「ららぽーと」の開業が控える。そんな福岡市だが、筆者の地元である札幌市と、何かと似ている。
まず推計人口は札幌市が約197万人に対して、福岡市は約162万人。それなりに近い数字だ。また、いずれもJRの基幹駅(札幌駅、博多駅)があり、その基幹駅から少し離れたところに地下鉄駅が乗り入れる繁華街(大通、天神)がある。またプロ野球チームの本拠地がある(札幌からはもうすぐ移転してしまうが)。しかもその球団は両方パ・リーグである。観光客も札幌、福岡市ともに多く、コロナ前はホテルが次々にオープンした。商業施設では、両方ともJRの基幹駅に駅ビルがあり、繁華街にはパルコがある。将来的なことを言えば札幌にも新幹線が乗り入れ、いずれのJR基幹駅とも新幹線駅となる。
共通点が多い2つの都市だが、札幌の人間としては、福岡市に「ららぽーと」や「ザ・リッツ・カールトン」が開業するということで、後塵を拝している悔しさがある。さらに、人口は札幌市の方が多いのに、福岡市の方が街に賑わいがある印象だ。調べたところ、札幌市の面積は約1121km²、福岡市は約343km²だ。人口密度が違いすぎる。どおりで福岡の方が賑わっているように感じるはずだ。当然、デベロッパーはコンパクトな地域に大勢の人が集まる福岡市を選ぶだろう。「ららぽーと」の開業も納得……ではあるのだが、これまで両方の都市を取材し、賑わいの差の要因として感じることがある。元気の良さの違いである。
たまたま筆者が取材した人がそうだったと言われればそれまでなのだが、福岡市で取材する際、前のめりな人が多い。一方、札幌で取材する人は、おしとやかな人が多い気がする。これは自治体の取材でも同じことが言える。市の職員などと話すと、大抵おしとやかな人や、控えめな人なのだが、以前天神ビッグバンについて福岡市の職員を取材した際は、対応してもらった人は元気があり、課題意識とやる気に満ちていて驚いた。これまで街づくりや開発を引っ張るリーダーを取材してきたが、皆、「いくら儲かる」というそろばん勘定だけでなく、街を活性化させたい、元気にしたいという「夢」や「ロマン」のような志を持っていた。つまり福岡市にはこうした志を持っている人が多いのではないかと感じている。街が賑わうはずだと納得してしまう。
ところで、先日街づくりを進める事業者と話していた時に言われたのがこんな言葉。「街づくりに成功して新聞に取り上げられるエリアがあるけど、日本の大半の街は街づくりに対してやる気がない」。そして「地域の人にやる気になってもらうのが街づくりの一歩」なのだという。正確に言えば、大勢の人にやる気を持ってもらうということらしい。思えば、街づくりの取材をすると「街づくり拠点」を設けたという話をよく耳にする。こうした施設を通じて街づくりの啓蒙をしているのだろう。
この話を聞いてから、札幌市という街がより賑わうために、街づくりに対してやる気がある人を増やすことが必要だと思っている。もちろん大都市ということもあり、すでに大勢のやる気に満ちた人はいるだろう。でもさらなる街の発展にはより必要だ。やる気のある人を増やす方法が、何かと似ている福岡市などライバルとの比較なのかもしれない。魅力溢れる都市を知り、街づくりに目覚める人が増えれば、札幌市はもっと面白くなると思う。