2月27日、東京・秋葉原に「俺のフレンチGRILL & WINE」がオープンした。「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などで知られる「俺の」シリーズの新ブランド1号店だ。主力業態である俺のフレンチと、インバウンドからの人気も高い「俺の焼き肉」を“良いとこどり”した店舗となっている。
店名のとおり、グリルとワインが充実している。肉料理では、国産牛や黒毛牛などのブランド牛を多分に使用。「BEEF炭火Grill盛り合わせ」では、国産牛サーロイン、牛タン、アンガス牛ハラミの3種を炭火でじっくりと焼き上げた。A5黒毛和牛の「うにく」は、黒毛和牛の上にいくらと雲丹を乗せ同時に味わえる贅沢な逸品だ。俺のフレンチ創業以来の看板商品である「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ」もラインアップする。
オープン前日に報道関係者向けの試食会に参加した。牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニは、トリュフの香りがお肉の旨味をさらに増幅させるような至高の味わいだった。甘党の筆者にとっては、デザートの「クレームブリュレ~バニラアイス添え~」の甘く冷たい旨味も忘れられないものとなった。なお、当日は体調があまり優れず、一部のメニューに手をつけることができなかった。残念に思うと同時に、主催者にこの場を借りてお詫び申し上げたい。
実はこれまで、「俺の」ブランドの飲食店には行ったことがなかった。そのネーミングから「がっつりとした男飯」を連想し、入りづらかったからだ。そこで、試食会に出席していた俺の㈱の立石寿雄社長に「女性のお客様は多いんですか?」と尋ねてみたところ、「意外といらっしゃいますよ。お店によっては男性よりも多いかもしれない」との回答が。一瞬驚いたものの、GRILL & WINE秋葉原店は決して女性が入りにくそうな設えではなかったし、何より料理が本格的で美味しかったので、こちらの認識が違っていたことを認めることができた。
俺のシリーズは2011年にオープンした「俺のイタリアン新橋本店」から始まった。創業者はブックオフも立ち上げた坂本孝氏だ。良い食材を高値で仕入れながらも、立食スタイルを取り入れることで価格を抑えて提供するという特異のビジネスモデルを確立した。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で立食スタイルを継続することが難しくなり、現在ではグループの1店を除いて着席スタイルを取り入れている。ただし、「こだわりの料理を手の届く価格で提供する」というスタンスは健在で、2時間制を設けることで従前の高回転率を維持している。
24年11月には同業のオリーブ(株)と合併した。今後は同社の主力である和食業態と焼き鳥業態以外の8店を「俺の」ブランドに転換していく予定だという。また、今年は恵比寿に2店、浅草に1店をオープンすることが決まっている。以降も出店数を増やしていく方針で、出店に伴い増加する設備投資費を外部からも調達できる体制を整えるため、早ければ27年の株式上場を目指している。俺のシリーズは現状、東京近郊、関西圏、福岡以外の地域での展開が手薄だ。業態転換や新規出店を通じて、名古屋や京都、北海道など、未開拓の地への進出が見られるかもしれない。