フィットイージー(株)は、急成長を見せる24時間営業フィットネスクラブ「フィットイージー」をメーンブランドに、女性向けの新業態「フィットイージー スタイル」などを展開している。マシンジム+スタジオ(バーチャルスタジオ)の構成により機敏な出店を可能とし、東海地方を中心に店舗数は82店(9月末時点)を数え、2022年からさらに出店スピードを加速させる。同社代表取締役の國江仙嗣氏に聞いた。
―― 業績の推移、足元の状況から。
國江 現在5期目に突入したところで、売り上げは2期目が10億円、3期目が16億円と好調に推移し、21年9月に締めた4期目は25億円に近い数字となる見込みで、創業から売り上げ、利益ともに1.5倍のペースで成長している。本来、もう少し高い目標を設定していたが、新型コロナウイルス拡大の影響で多少のブレーキがかかったが、順調にきていると言える。なお、今期の5期目も前期比で1.5倍となる見通しだ。
―― ブランドの紹介を。
9月にオープンした新業態の女性向けフィットネスクラブ「フィットイージー スタイル」
國江 主力ブランドのフィットイージーは、“フィットネスを気軽に、簡単に”楽しめる環境を整えた店だ。基本的には24時間営業で、マシンジムとスタジオで構成し、駐車場を備えた郊外ロードサイドの路面店がメーンである。フィットイージー スタイルは、9月に1号店を開業した女性向けの新業態で、商業施設へのテナント出店を想定したブランド。女性に特化した業態であることから、オシャレでファッショナブルなフィットネスクラブとして展開している。
―― 現在の展開エリアは。
國江 東海・中部を中心に、北関東~中国・四国まで展開しており、21年内~22年初頭にかけて北海道や九州にも進出する予定だ。フィットイージーの店舗数は82店だが、21年内の100店達成に向け準備を進めている。
フィットイージー スタイルは1号店の「イオンモール堺北花田店」(堺市北区)が開業したばかりで走り始めた段階。21年内には関東への出店を含め3店ほどになる予定で、さらにブラッシュアップし、来年以降出店を加速させたい。
―― 新型コロナが事業に与えた影響は。
國江 新型コロナの流行当初は、会員数が3割程度減るなど大きな影響があった。だが、当社は完全非接触型フィットネスクラブを提唱し、もともと顔認証による入退館システムや熱感知機能の導入、スマート入会を行うなど、新型コロナに関係なくデジタルを駆使した会員管理を行っていた。これに加え、コロナ対策も万全に行った結果、もちろんクラスターはゼロ、安全なフィットネスクラブであるという認識を持ってもらえている。
―― 今後の出店の考え方は。
國江 既存の展開エリアは東海地方が中心となっているが、より広いエリアへ出店しようとしている。そして来年以降は地域ごとに店舗網を広げ、ドミナントのような出店戦略を行っていきたい。
―― 21年春、ファミリーマートのFIT&GOを譲受しました。
國江 譲受にあたり、当社は立候補し、選んでいただいたわけだが、ファミリーマートが入会時に撮影していた会員様の顔写真データが当社の顔認証による入退館管理や、会員管理にマッチできたことが大きい。このシステム連携がうまくいったことにより、FIT&GO会員様の移行やサービス提供もスムーズに進んだ。フィットイージー スタイルの開発にあたっては、FIT&GOから多くを学んだ。譲受後、FIT&GOは当社仕様にリニューアルし、現在はフィットイージーとして営業している。
―― 現在の貴社の課題をどう捉えているか。
國江 おかげさまでフランチャイズの加盟希望の問い合わせを大変多くいただいている。ニーズに応えるべく急ピッチで店舗開発を進めているが、少し遅れ気味となっているところが課題だ。
―― 東京進出の時期について。
國江 フィットイージー スタイルは、女性向けや商業施設内への出店などの特徴があり、都内にも出しやすいと思っているので、22年にも展開を始めたい。フィットイージーは2年後くらいかもしれない。一方で、都内への出店にあたってはフィットイージー スタイルと同様の“東京版・新業態”のようなものも考えられる。既存の枠にとらわれず、色々な形態のジムを作りたい。会社としても、健康産業全体に携わっていきたいと思っており、様々な可能性を探りながら事業を進めていく。
―― 今後の事業展開について。
國江 フィットイージーのスタート当初は「3年で200店」という目標を掲げていたが、新型コロナの影響でストップしてしまった。現在はこの200店という数字にはこだわらず、スポーツクラブ大手各社とも対等に渡り合えるような競争力のある店づくり、店舗体制の構築を行っていきたい。
そして、結果的に現在までで80店超の店舗体制となっているが、特にここ最近出店スピードを上げており、5期目(今期)はさらに加速させる。新型コロナウイルスの拡大が少ないことを前提に、早々に100店を達成し、その後も積極的な出店を行うとともに右肩上がりの成長を目指す。業績面でも目標に向けて順調に進んでいる。また、都内進出を果たし、そこでグローバルな世界基準のスポーツクラブを展開したい。
(聞き手・副編集長 若山智令)
※商業施設新聞2419号(2021年11月2日)(7面)
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