商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第298回

(株)フュービック 代表取締役社長 最高経営責任者 黒川将大氏


コロナ禍でも健康需要捉え堅調
商業施設にも積極出店、海外にも

2021/9/21

(株)フュービック 代表取締役社長 最高経営責任者 黒川将大氏
 コロナ禍でジムやフィットネスなど、様々なサービス業態が打撃を受けているが、その中でも成長を続けている業態もある。(株)フュービックが展開する「ドクターストレッチ」は近年高まる健康需要を捉え成長を続けており、その勢いはコロナ禍でも衰えていない。商業施設にも積極的な出店を続けている同業態について、代表取締役社長の黒川将大氏に話を伺った。

―― 事業の概要から。
六本木店の外観
 黒川 独自技術「コアバランスストレッチ」を習得したプロのトレーナーが、効率的に筋肉を伸ばし、快適な体を作る。定期的なストレッチを習慣化してもらうことで、リピート需要を獲得し成長している。
 事業を始めた当初はストレッチ自体があまり社会に定着しておらず、様々な試みを行った。ストレッチの良さをアピールするパフォーマンスを行い、SNSで話題になったこともあった。それ以降も街頭での実演や、有名人の方々の利用などでかなり知名度の点では浸透したと思う。こうした流れで10年前に1号店を出して以降成長が続いており、FC展開も拡大している。現在は全国で158店、海外で約20店の計180店程度にまでなった。

―― 出店戦略は。
 黒川 当初は業態の知名度確立を重視しており、出店立地はアピールしやすい有名な駅前や商店街などを中心にしていた。
 しかし近年は地方都市や、商業施設などへの出店が拡大している。転機となったのは札幌への出店だ。当初は立地的に成り立つのか疑問だったが、これが予想外に良い成績を出した。
 これをきっかけに地方都市への出店を加速していき、商業施設においても例えば沖縄のパルコの店舗はメジャーな駅前立地にも匹敵する売上規模で、越谷レイクタウンの店舗は六本木の店舗以上に良い成績を上げている。今後もテレワークの加速などで郊外・地方の需要は増えていくと考えており、こうした立地での出店を積極的に検討していきたい。

―― 海外展開は。
 黒川 現在上海や台湾、シンガポールなどに出店している。上海は現地との合弁で、シンガポールや台湾は直営だ。こうしたアジアの地域では経済成長に伴い人々の健康意識も高まってきており、需要も増えてきている。欧米でも事業を展開したいが、スタッフの労働ビザの問題などがあり現状では具体的に進展していない。しかしアフターコロナの経済回復などを考えると有望な市場であり、今後も引き続き検討していきたい。

―― 競合と比べての強みは。
 黒川 ブランドや集客力など様々だが、一番の強みはスタッフの採用だ。ドクターストレッチではスタッフ1人あたりの採用にかかる費用は競合と比べて圧倒的に優位に立っている。そして我々には1つの店舗で仮に10人のスタッフを雇っても稼げるノウハウもある。よって競合と比べればサービスで優位に立てるし、我々の店舗の近隣エリアではそもそもスタッフが確保できなくて出店できないということも出てくる。

―― コロナの影響は。
 黒川 最初の緊急事態宣言の際、2カ月の全店休業を余儀なくされたので、年度で見るとやはり落ち込んでいる。しかしそれ以降は、緊急事態宣言などで休業を余儀なくされたエリアでは落ち込んでいるが、それ以外のエリアではむしろ好調で、全体として黒字は確保している。感染対策についても、我々は初期からスタッフにマスクを配布するなど万全の体制を志しており、お客様からも安心して利用されていると考えている。

―― 今後の出店について。
 黒川 やみくもに数を追うのではなく、基本は良い場所があれば出店するという方針だ。そしてコロナの影響によって、他業種の店舗跡地など、最近は良い立地が増えてきている。また現在ドクターストレッチだけではなく、ストレッチピラティス専門店の「WECLE」も展開しており、こちらは近いうちに5店程度新たに出店する予定だ。

―― 最後に抱負をお聞かせ下さい。
 黒川 ドクターストレッチのブランド力をさらに高め、既存のお客様とのエンゲージメント強化を図り新たなファンの獲得を目指していきたい。そして国内のみならず海外でも事業を拡大し、ストレッチ業界のリーディングカンパニーとして健康習慣を世界に広めていきたいと思っている。


(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2408号(2021年8月17日)(7面)
 商業施設の元気テナント No.240

サイト内検索