商業施設新聞
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第289回

ラオックス・リアルエステート(株) 代表取締役社長 中谷和浩氏


グループの不動産機能を担う
官民一体で加古川の施設を再生へ

2021/7/20

ラオックス・リアルエステート(株) 代表取締役社長 中谷和浩氏
 ラオックス・リアルエステート(株)は、ラオックスグループの不動産事業を担う企業だ。多くの案件を取り扱う中で、兵庫県の加古川駅前にある百貨店「加古川ヤマトヤシキ」と、千葉市の複合施設「千葉ポートスクエア」の運営も行っている。両施設は厳しさもある中、様々な取り組みを進め、加古川では官民連携の施策により、再生の道筋をつけつつある。代表取締役社長の中谷和浩氏に話を聞いた。

―― 貴社の事業概要から。
 中谷 ラオックスグループの不動産事業を担っている。ラオックスは多くのリアル店舗を展開し、グループとして物流アセットも持つ。こうしたアセットの運営・管理や状況に応じてコンバージョン、リーシングなどに加え、売却による資金化などを行う。

―― 加古川市で施設の運営に取り組んでいます。
 中谷 加古川駅前にある加古川ヤマトヤシキの運営会社株式を100%保有している。ヤマトヤシキの本店であった姫路店は閉店してしまったが、ラオックスが加古川店の事業を譲り受けた。建物は加古川市の第3セクターが保有し、当社が建物をマスターリースして運営会社にサブリースしている。

―― 地方の百貨店は厳しさが指摘されています。
 中谷 加古川ヤマトヤシキも楽観はできず、そこで、まずはコストコントロールに向けて施設保有者である市と様々な交渉を進めた。市と話をする中で、加古川ヤマトヤシキはシンボリックな建物でもあり、厳しい運営ではあるが何とか残したいという意思を感じた。そこで、市に一緒に活性化できないかと提案した。

―― どのような提案をしたのですか。
 中谷 百貨店は地方都市において上質な商品を買い物できる重要な場所。ただし、売り場は地下1階~地上7階の8層にわたり、オーバースペック感は否めず、全体のうち5~7階を返還することを提案した。一方で、ただ返すのではなく、行政機能の移転をお願いした。実は駅周辺は再開発が計画されており、市としても注力するエリアである。こうしたエリアに行政機能が移転することで、市が注力していることを発信できるのではと伝えた。嬉しかったのは、市長がこうした話に理解を示してくださったことだ。
 話し合いを進める中で、6階に図書館の移転が決まり、今年の10月にオープンすることになった。さらに来春、5階に勤労会館や国際交流センターなど市の機能を移転する予定だ。7階にはすでに子育てプラザなどがあり、これによって幅広い層が館内に訪れることになる。
 百貨店も下層階に集中することで、収益の改善に期待が持てる。今後はこうした新しい機能に基づいて、必要な店舗の見直しなども行いたい。厳しいといわれる地方百貨店だが、行政との連携により、再生の道筋が見えてきた。

―― 千葉市では複合施設を運営しています。
 中谷 千葉市では千葉ポートスクエアを運営している。商業棟やオフィス棟、ホテル棟などで構成する複合施設で、2016年にラオックスが中国最大手の不動産企業とともに取得した。駅からのアクセスが良くないなどの課題があり、厳しい施設として知られていたが、成田空港からは1時間ほどで来られる。また、東京や東京ディズニーリゾートとのアクセスも良く、館内にはホテルなど様々な機能がある。そこで取得当時、大型のラオックスを出店し、インバウンドの取り込みを狙った。ただ、結果としては千葉まで誘引することができず、施設の再生を進めている。

―― どのような取り組みをしましたか。
 中谷 まずはコストコントロールを徹底した。この施設は第3セクターとして開発されており、当時のインフラの契約などが引き継がれたままだったので、電気関係など様々な契約を変更した。合わせて商業棟のリーシングも行った。まずは1階にスーパーを誘致すべく出店の交渉をした。厳しい反応も多かったが、そうした中で出店していただけたのがフードウェイ。「生鮮びっくり市場」として、九州の有力スーパーに進出していただいたことで「マツモトキヨシ」も誘致でき、周辺住民を取り込む体制が整った。その後3~4階のリーシングを行い、3階に医療モール、4階にボウリング場の出店が決まりかけた。5階には自社で大型ビュッフェレストランを展開しており、機能が揃いつつあった。だが、ここでコロナが来てしまった。

―― 商業施設としては難しい時期です。
 中谷 ただ、同施設は市の総合体育館が隣接しており、周辺に人は多い。それもあって2階はリテールフロアにすることを構想しているが、ある程度の引き合いがあった。4階のボウリング場は現在も出店する意向を示していただけている。感じるのはコロナ禍という難しい時期のため出店の決断はしにくいが、出店意欲そのものがなくなったわけではないこと。下地は整ってきたので、コロナ禍が収束したら一気に事業を進めていきたい。


(聞き手・編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2403号(2021年7月13日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.352

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