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第277回

(株)カインズ SCM統括部 ロジスティクス部部長兼国内物流効率改善グループグループマネジャー 石崎清志氏


三重と埼玉に新物流拠点計画
荷下ろし・運搬など自動化推進

2021/4/20

(株)カインズ SCM統括部 ロジスティクス部部長兼国内物流効率改善グループグループマネジャー 石崎清志氏
 (株)カインズ(埼玉県本庄市早稲田の杜1-2-1、Tel.0495-25-1000)は、三重県と埼玉県で新たな物流拠点の設置を計画している。ともに自動化が進んだ次世代大型物流センターとし、同社初のBTS型(オーダーメイド型)を採用する。同社SCM統括部 ロジスティクス部部長兼国内物流効率改善グループ グループマネジャーの石崎清志氏に物流への取り組みについて聞いた。

―― 新物流拠点「カインズ 桑名センター」は、西日本のマザーセンターの位置づけです。
 石崎 計画地は三重県桑名市多度町の敷地6万7873m²で、施設規模はS造り地上4階建て延べ9万378m²を予定。最大144台のトラック接車台数を確保し、施設外壁に取り付けたスロープで2階へ直接到達できるようにする。今後のカインズの店舗数増加や機能拡充にも柔軟に対応できる。西日本にある当社の店舗への配送を担い、静岡以西には当社全体の約30%の65店がある。
 桑名センターでは、従業員や外部スタッフ用に300台以上の駐車スペースを用意し、さらに空調整備や保育施設の設置など快適な作業環境を確保する計画も進める。当社最大規模の次世代大型物流センターとなる。2023年5月の竣工、同年秋の稼働開始を予定する。20年12月15日に伊藤忠商事(東京都港区)および伊藤忠都市開発(東京都港区)と賃貸借契約を結んだ。

―― 自動化は、どのような工程で進めるのでしょうか。
 石崎 施設内での入荷品の荷下ろしや運搬、商品の小分けなどの業務にロボットや自動運転マテリアルハンドリング(資材や商品の移動に使う装置や機械)を導入し、物流管理システムと連携した24時間対応などで業務の効率化を図る。当社は今後、物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることで、IT小売企業としての存在意義を高める方針が出されている。

―― もう一方の埼玉県の施設計画について。
日高センターのイメージ
 石崎 埼玉県日高市で新設する施設は「日高センター」(耐震S造り3階建て延べ約6万7000m²)として、納入された商品を仕分けして配送するTC(Transfer Center)の機能を持ちながら、管轄エリアにある店舗の売れ筋商品を在庫として保管し、受注に応じて出荷するDC(Distribution Center)機能も持ち合わせる計画だ。SCなどにテナント出店した場合、店に在庫を置くバックスペースがないため、これらにも対応する。23年1月着工、24年3月の竣工予定だ。日本GLPと賃貸借契約している。

―― 物流事業を取り巻く環境について。
 石崎 コロナ禍でDIYなどホームセンター(HC)の商品需要が旺盛な中で、物流施設の働き手の人手不足、車両不足が顕在化している。そのため、構内作業の増加、運送費の増加が顕著で、これをいかに低費用に持っていくかが物流の考え方の基本になっている。リードタイムの短縮、入荷の在庫状況をどのようにコントロールして物流センターが立ち回るか、店舗作業に対して物流センターとしてどのようにサポートするかなど、店舗への貢献を常に第一の優先事項として考えている。今も、店舗の負荷増加を軽減するため、物流センターとして何ができるかを議論している。物流を効率化したからと言って、店舗への配送サービスの低下は許されない。

―― 人手不足はどの程度深刻なのでしょうか。
 石崎 地域ごとに状況は異なるが、当社の物流業務全体の2割程度とみている。そのため、派遣社員を採用し、即戦力化できるように、職務内容を標準化・単純化することが重要になっている。また、人手が足りない工程は、機械化して自動化し、省人化して人手不足を補っていきたいと考える。
 人手不足や車両不足は、20年の新型コロナ感染症拡大以前からの事象で、日本の人口減少による労働力不足は社会現象なので、今後ますますこの傾向が高まり、労働賃金も上がっていくと予想している。マテリアルハンドリングの自動化は、これを補うための投資で、マザーセンターとしての立ち上げはとても責任の重い仕事である。

―― HCの物流施設は商品管理も大変です。
 石崎 全取扱商品数は10万点以上となり、住関連商品全般で運ばないものはないといっても言い過ぎではない。これを各店舗へリードタイムを守って配送するのは大変ではあるが、その先のお客様の笑顔を思えば大変やりがいのある仕事だ。

―― カインズの物流施設全体について。
 石崎 大小合わせて11施設ある。物流網の整備により、商品の品質を維持しながら迅速な調達と出荷を実現している。また、ITを活用して情報を一元化することで、販売状況に合わせたジャストインタイムの商品供給にも対応できる精緻な制御体制を構築している。
 海外専用施設は7拠点で、中国に6、ベトナムに1カ所あり、海外取引先からの商品を取りまとめ、日本の物流施設に配送している。三重県と埼玉県で新物流施設が稼働した後には、海外商品を取りまとめる拠点が2カ所となり、近隣でそれぞれ1カ所ずつの老朽化した物流拠点を統廃合していく予定だ。


(聞き手・笹倉聖一記者)
※商業施設新聞2390号(2021年4月6日)(6面)

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