ある日のこと。「デベロッパーの連載は2カ月先まで埋まっているよ。元気テナントの連載も、1カ月後でないと掲載は無理だね」と編集長に言われ、さて何をしようかと考えた私は、外食企業の取材に回ることを決めた。
従来のエリア(関西、中国、四国)に加え、中部エリアも担当することになったため、とにかく手当たり次第に、各社に取材を申し込んでみた。その中で快く取材に応じていただいたのが、ドリームアドバンス(株)と(株)甲羅である。
ドリームアドバンスは、近鉄大阪線の「弥刀駅」から徒歩15分の距離にある、大蓮本通り沿いに本部を構えていた。もちろん初めて訪れる会社ではあったが、階段を上がった2階のオフィスは、活気に満ち溢れていた。
取材に応じていただいた利川邦浩専務は、取材に積極的で、今後の出店計画だけでなく、策定したばかりの中期経営計画まで懇切丁寧にお教えいただいた。
同社は大玉たこ焼やお好み焼、焼そばを低価格で提供する「じゃんぼ總本店」を中心に、たいやきの専門店やイタリアンをチェーン展開しているが、これまでの駅前や商店街、ロードサイドに加え、今後はインショップの展開も図る方針だ。特に、たいやきの専門店「鳴門鯛焼本舗」は、2012年11月に阪急川西能勢口駅店を開店したところ、売上高が従来店の10倍に増えたそうで、「じゃんぼ總本店よりも、鳴門鯛焼本舗のほうが、インショップに向いているだろう」(利川専務)とコメントをいただいた。
それを聞いて、休日に京都の鳴門鯛焼本舗を訪ねてみた。店前には人だかりができていて、買うのも一苦労だったが、風の強い日であったため、アツアツのたいやきはとても美味しかった。私は黒あん「小豆」と鳴門金時いもを1尾ずつ購入したが、特に、鳴門金時いもが絶品だった。今も近くを通る際は、必ず購入している。
甲羅は、JR東海道本線・名鉄名古屋本線「豊橋駅」から徒歩20分の距離にあり、県道393号線沿いに、立派な本社を構えていた。取材に応じていただいた代表取締役社長の鈴木勇一氏とは新業態店を中心に話が弾み、和やかな雰囲気で取材を終えることができた。
当然の如く、取材帰りは名古屋駅のエスカ地下街で、甲羅の新業態店「海老どて食堂」を訪問。ドデカイ海老フライが乗った海老ふりゃ~定食を注文し、お腹いっぱいで帰宅の途についた。2社の取材を通じて改めて感じたのは、現場に行く、店内を見る、商品を味わう、という自ら体験することの大切さ。いくら精緻な文章で100本の記事を書いたとしても、この1つの“体験”だけは伝えられないだろう。