神奈川県東部の最南端。相模湾と東京湾を隔てる三浦半島の先端に三崎水産物流加工業務団地がある。同工業団地は、2007年4月に三浦市が分譲を開始。直後にサブプライムローン問題が表面化し、08年のリーマンショックなど経済状況が悪化していたところに、11年3月の東日本大震災が発生。分譲開始から厳しい状況が続いていたが、ここに来て具体的な引き合いがあり、誘致に向けた交渉を進めている。
同工業団地は特定第3種漁港の三崎漁港の一部となっており、当初冷蔵倉庫の立地を想定して整備された。分譲している用地に隣接して県が整備したマイナス10mとマイナス8mの岸壁がある。クレーンなどの設備が整備されていないため、コンテナ船などの入港は不可能だが、漁船ならたいていの船が入港可能となっている。東京湾と相模湾の出入り口にあり、太平洋にスピードアクセス可能な海上ルートを有している。
三浦縦貫道林ICから約10km、横浜横須賀道路佐原ICから約14kmに位置しており、京浜急行の三崎口駅からは約5.6km、京浜急行バス三崎港バス停から約600mの距離となる。
同工業団地は、4区画あるが、分譲しているのはこのうちの3区画で面積は約6万2000m²。1万6213m²、2万2171m²、2万2170m²の区画の分譲を進めている。用途地域は準工業地域で、建ぺい率は60%、容積率は200%、高度地区は31m未満。準工業地域なので、住宅の建設は不可能だが、工場や倉庫のほかにも店舗、事務所、飲食店、ホテルまたは旅館などの建設も可能。建築物の敷地面積の最低面積は300m²となっている。
三浦市ではこの工業団地への進出企業に対して、不動産取得税などの減免などの立地支援制度も用意しており、条件によって活用することが可能である。
分譲開始以来、経済状況の悪化などから厳しい状況が続いていたが、12年5月の連休明けから具体的な進出の話が出てきており、2万m²強の用地について交渉を進めている。また、港に隣接した用地であるため、津波リスクなどから敬遠する動きもあったが、東日本大震災で被災した東北地方の企業や東南海地震が想定される近畿地方の企業などで、水産加工業者を中心にリスクヘッジの観点から問い合わせなどが増えてきているという。
三浦市では、自治体が所有しているために「やみくもに売却すればいい」というスタンスではないが、同工業団地のメリットをアピールし早期の販売を目指している。