商業施設新聞
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第248回

(株)QBIT Robotics 代表取締役社長兼CEO 中野浩也氏


様々な企業・業種に導入進む
コロナ禍以降、全国から相談

2020/9/23

(株)QBIT Robotics 代表取締役社長兼CEO 中野浩也氏
 (株)QBIT Robotics(東京都千代田区平河町1-6-8)はロボティクスサービスプロバイダーとして、様々なメーカーのロボットを活用したソリューションを提供している。同社は(株)エイチ・アイ・エスが運営する「変なカフェ」にロボットを導入したことで知られているが、最近では(株)養老乃瀧、(株)三笠会館など様々な企業と取り組みを進めている。同社代表取締役社長兼CEOの中野浩也氏に直近の動向を聞いた。

―― 西宮市の商業施設でロボットカフェの実証実験を行いました。
 中野 2019年11月から、阪神西宮駅の商業施設「エビスタ西宮」にロボットカフェのパッケージ「&robot cafe system」を導入した。これはロボット、カフェマシン、カウンター筐体をパッケージにしたロボットシステム(参考サイズ2.4×2.4×2.4m)。人の手間は開閉店作業やコーヒー豆とカップを補充する程度で、1時間あたりドリップコーヒーなら20杯、カフェラテは30杯提供できる。
 エビスタ西宮では実証実験として、阪急阪神不動産(株)と阪急阪神ビルマネジメント(株)がパッケージを採用し、飲食店経営の(有)トロワイグレック ラテールグループが運営主体として、20年2月までコーヒーを提供した。来店客の反応は良く、また来店者数も多かった。阪神阪急側からは継続の意向を示していただいたが、運営者が見つからず、今回は実験を終了した。まだロボットが売り上げを上げ、商売として成り立つことをイメージしにくいようだ。特に今回は3カ月と実証期間が短く、クリスマス、年末年始を含む期間だったので、年間を通じての稼働イメージがしにくく、継続の決断が難しかったかもしれない。

―― 養老乃瀧とはお酒を提供する取り組みをしました。
レストランでは自動搬送
ロボットサービスを導入した
 中野 今年の1月23日から約2カ月間、養老乃瀧様が池袋で運営する「一軒め酒場」店内に、ロボットがカウンターで働く「ゼロ軒めロボ酒場」を設置した。ロボットがお客様の注文を受け、ビールやサワーなどを作って提供するもの。来店客はアトラクション的に楽しんでもらえ、良い反応だった。さらに、より良い反応を示されたのは、導入先の養老乃瀧様だった。ドリンクの提供だけでなく、掃除の手間もほとんどなかったことが好評だった。ヒトが注ぐとどうしても飲み物が床にこぼれ、清掃が必要になるが、ロボットなら正確な動きで注ぐのであまり床は汚れない。実証実験を通し、ロボットが得意なこと、苦手なことなどを分析いただき、現在も、養老乃瀧様とロボット活用の協議を進めている。

―― 今年に入ってから国内で新型コロナウイルスの感染が拡大しました。貴社の取り組みは。
 中野 「コロナ対策ソリューション」として、無人で物資を運搬する「自動搬送ロボット」や「自動走行・紫外線照射型ウイルス除染ロボット」などのソリューションを展開している。病院やビル管理会社など様々なところから問い合わせがある。特に非接触に関する自動搬送ロボットの問い合わせが多い。
 非接触という面では&robot cafe systemでも新しい取り組みを始めた。これまではタッチパネルでコーヒーを注文していたが、NUWAロボティクスJAPAN(株)のコミュニケーションロボット「Kebbi Air」と組み合わせ、Kebbi Airに話しかければ注文できるようにした。それぞれ違うメーカーが製造したロボットだが、一つのプラットフォームでコントロールできるのが我々の特徴だ。

―― 玉川高島屋S.C南館のレストランで新しい事例ができましたね。
 中野 三笠会館様がオープンした「THE GALLEY SEAFOOD&GRILL」に自動搬送ロボットサービスを導入した。この店舗はオーダースタイルのサラダバーを提供しており、ロボットが席までサラダを届ける。2台の自動搬送ロボットが店内を動いており、非接触、非対面でサラダを受け取れる。
 三笠会館様は、以前からIT技術を活用したレストランを模索していたそうで、店内では注文をタブレットで行うなど先進的な取り組みが多い。ロボットにより人の作業量を減らし、その分、三笠会館様の特徴でもあるホスピタリティを活かしている。ロボットはサラダバー専門の配膳係に特化させており、ロボットの長所が活きる上手な使い方をしている。

―― 今後の展開について。
 中野 現在も様々な引き合いをいただており、比較的飲食関連が多い。以前は、東名阪の企業を中心だったが、コロナ禍以降は全国からお問合せいただくようになった。ニューノーマルに向け、ロボット活用を具体的に検討しようとする、意識が高まっていると思う。我々もここに貢献をして、ロボット市場の拡大にもつなげていきたい。

(聞き手・編集部)
※商業施設新聞2360号(2020年9月1日)(6面)

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