―― 研究開発の取り組み状況について。
湯浅 産総研では、NEDOのプロジェクトを通じて東芝と密に連携し、MRAMの開発を行っている。昨年から新たな5カ年プロジェクトがスタートしたところだ。
装置メーカーとしては、キヤノンアネルバと長年にわたって協力関係にあり、同社の大型スパッタリング装置「C―7100」を用いて開発を行っている。この装置は産業対応装置で、我々の成果がスムーズに量産へと展開できる点が大きな特徴だ。
―― 大容量化に向けて。
湯浅 大容量化には、まずMR比が室温で100%よりも大きい物質が求められる。巨大TMR効果を持つMTJ素子については、我々とキヤノンアネルバで、CoFeB/MgO/CoFeB構造を04年に発表。この構造では、CoFeにBを加えると、成膜直後にCoFeBの強磁性電極がアモルファス状態になり、3回転対称の下部構造の上に4回転対称のMgOを成長させることができ、結晶成長の常識を覆す発見となった。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2012年8月29日号2面)