商業施設新聞
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第147回

(株)ゴンチャ ジャパン 取締役社長 葛目良輔氏


人気の台湾ティーカフェを展開
コーヒー苦手なカフェ好きに照準
20年末に100店体制確立

2018/9/18

(株)ゴンチャ ジャパン 取締役社長 葛目良輔氏
 2015年に原宿に1号店をオープン以来、出店するすべての店舗で行列が絶えないほどの人気店が台湾ティーカフェの「ゴンチャ」だ。すでにアジア、オセアニア、北米エリアなどでは約1400店を展開しており、日本市場でも積極展開を進め、20年末には100店体制を目標としている。今後の展開について、日本国内で「ゴンチャ」を運営する(株)ゴンチャ ジャパン(東京都渋谷区神宮前6-6-2)の取締役社長兼COOの葛目良輔氏に聞いた。

―― ゴンチャの特徴は。
 葛目 ゴンチャは、上質な台湾ティーをカジュアルなスタイルと手軽な価格で提供している。台湾のお茶どころ、阿里山で栽培された茶葉をはじめ、厳選された高品質の茶葉を使用。店舗で丁寧に抽出し、抽出時の湯温や抽出時間を茶葉ごとに変え、提供するお茶は抽出後4時間以内と定めるなど香りや鮮度にこだわっている。また、タピオカをはじめとした6種類のトッピング、ドリンクの甘さや氷の量などすべてお客様のお好みどおりにカスタマイズできる。

―― 各店で行列ができる人気ぶりです。
1号店の原宿表参道店
1号店の原宿表参道店
 葛目 15年9月に外食のメッカと言われる原宿に1号店である原宿表参道店を出店し、9月で丸3年を迎える。原宿エリアでは決して目抜き通りではない場所にもかかわらず、開店当初から若い女性を中心に行列ができ、おかげさまで、客数は日本上陸時から約2倍、売り上げも客数以上の伸びを示している。1号店の原宿表参道店は、集客面でのフラッグシップ店の位置づけではなく、最新の店になるほど客数は増え、行列も伸びている状況だ。

―― 人気の秘訣は。
 葛目 コーヒー主体のカフェチェーンは、現在スターバックスを筆頭に大きなポジションを得ているが、必ずしもコーヒーが好きなわけではなく、カフェという場所へ行くスタイルが好きな、いわば“コーヒー苦手なカフェ好き”という顧客層が多いのではないかと感じていた。そうした顧客層に対して、お茶をアジアンテイストで提供すれば受け入れられるのではないかと、あえてお茶の専門業態に絞り込んだ店をコーヒーが苦手なカフェ好きが好みそうな場所にオープンした。
 現在のカフェ市場は、コーヒー一辺倒で、どの店に足を運ぶかはブランドで左右される。10回に1回でもコーヒーを提供するカフェに代わり来店してもらい、そこでは味わえない体験を提供すれば一定のポジションを得られると創業当初に考えた。
 開店から数年経ってもお客様が増えているのは、単に話題性だけでなく、純粋にお茶がおいしいとか、そこに行くことが自分のスタイルに合っていると感じてもらえたのではないか。全店では4人に1人、駅近くの店では2人に1人はリピーターのお客様が来店しているということからも商品、店舗スタイルなどが我々の考えと合致したのではないかと見ている。

―― 出店は順調。
 葛目 原宿に1号店を出店以来、これまでに首都圏、大阪府内に16店をオープンした。当初、店舗の広さは15坪前後が主体であったが、お客様が増えているため25坪程度に広げている。客席を増やすというよりは、お客様を迎えるカウンターやキッチンエリアの拡大が中心だ。

―― 今後の展開を。
 葛目 関西エリア2号店で8月24日オープンの梅田茶屋町店(大阪市北区)、9月28日のららぽーと名古屋みなとアクルス店(名古屋市港区)、10月26日の福岡パルコ店(福岡市中央区)など、今年は12店程度の出店を予定しており、19年には約30店を出店し、20年末には100店体制を目標としている。出店エリアは、首都圏に中京圏、関西圏、九州では福岡県を中心に、駅ビルや都市型商業施設への出店を主体としている。郊外型の商業施設へ広げればもっと出店を増やすことも可能であるが、現時点では積極的に広げないという選択を行った。
 メニューも同様にほぼ台湾ティー専門とし、フードメニューはお茶請け程度にとどめている。これまでの外食企業での経験から、多くのことをやり過ぎることで、何をやるべきか見えなくなると実感している。当面は、いつでも気軽に立ち寄れる“デイリー・ティー・プレイス”というコンセプトを大事にしながら展開を進める方針だ。商業施設も従来のように数多く出店する時代ではなくなり差別化が必要となっており、ゴンチャの出店により、商業施設のMDの多様性に寄与できればと考えている。

(聞き手・副編集長 永松茂和)
※商業施設新聞2258号(2018年8月21日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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