駅ナカ事業、レストラン・フード事業、高速サービスエリア事業を展開する(株)近鉄リテーリング(大阪市天王寺区上本町6-5-13、Tel.06-6772-7501)が、商業モール「Time's Place(タイムズ プレイス)」のリニューアルを積極的に進めている。奈良や京都に加え、先ごろ難波の改装も発表。同モールの現況や今後の計画について、執行役員 営業企画部 営業支援部 建築設備部 商品部担当の朝長英樹氏に話を聞いた。
―― 7月に会社の体制を変更した。
朝長 これまで当社は近鉄グループホールディングス(株)の100%子会社として、傘下に(株)近商ストアを置いていた。先般、近鉄グループホールディングスの子会社として近鉄リテールホールディングス(株)が設立され、同社の傘下に当社と近商ストアが入ることになった。当社の役割は引き続き、駅ナカ事業、レストラン・フード事業、高速SA事業の3つの事業を展開していく。
―― 駅ナカ事業ではタイムズ プレイスを管理・運営している。近況は。
売上高が7%増を記録した
「タイムズ プレイス 京都」
朝長 現在、「難波」「あべの」「上本町」「京都」「奈良」「西大寺」「うじやまだ」の計7施設があり、総じて、売上高は横ばいで推移している。しかし、最近では、観光の駅となる奈良や京都の売り上げが好調だ。奈良は2016年に改装を行い、バラエティ豊かなお土産を提供する「GOTO-CHI~ごとーち~奈良店」を新たに導入し、土産需要にシフトしたことで、17~18年の2年間で、駅全体の売上高が26%の伸びを示した。
京都は開業当初、デイリー需要を取り込むために、飲食店や惣菜店を配置していた。その後も雑貨店を導入したが、売り上げが芳しくなかったので、この3月にリニューアルを実施。「麺ざんまい」「西利」「平宗」は残しつつ、「GOTO-CHI~ごとーち~京都店」を導入した。その結果、国内外のお客様の支持を得て、京都の売上高は18年4~6月に7%増を記録している。こうした奈良や京都は、国内の観光客に加え、訪日客の利用が増えており、今後は土産需要の拡大だけでなく、飲食店の強化も考えなければならない。
―― 難波の改装を発表した。その狙いや計画内容について。
朝長 近鉄の駅のご利用は定期利用が6割、定期外利用は4割が標準であるが、大阪難波駅はその割合が逆で、定期外利用は6割となっており、レジャーや観光に訪れるお客様が多い駅でもある。訪日客の利用も増えており、難波では飲食店の強化を図っていく。
具体的には、店舗数を18店から24店に拡大する中で、飲食店を4店から10店へ増やす。大阪難波駅には東改札と西改札があるが、現状は東改札が8割、西改札は2割と利用が偏っている。そのため、西改札側にもお客様に来ていただけるように、目的来店型となる飲食店を配置。飲食店はタイムズ プレイス初となるラーメン専門店を誘致するほか、新業態店や関東の有名店などを導入する。
一方、東改札側は、ついで買いを促すベーカリー、弁当店、スイーツ店を配置するほか、飲食店を導入する予定だ。東改札側の飲食店は、ビアバル店や当社が展開するカフェ「チャオプレッソ」の新コンセプト店を配置する。併せて、トイレも統合する予定だ。なお、改装工事はすでに着手しており、順次開業するが、一部の店舗は新トイレとともに19年2月、グランドオープンは7月ごろを予定している。
―― 今後の計画を。
朝長 西大寺で増床および改装を計画している。現在、大和西大寺駅では奈良市が自由通路の整備を進めており、駅と自由通路をつなぐ橋上駅舎工事に伴い、新たな利用スペースが生まれるため、駅ナカの増床および改装を行う。
橋上駅舎工事はすでに着手しており、駅施設やトイレを整備。これにより、3つの商業区画が新たに生まれることから、店舗を配置するほか、既存の施設も改装を実施する。同施設は難波と同様に、飲食店の強化を図る予定で、18年度内に新モールのコンセプトを固め、19年度以降に具体的な店舗計画を行う。そして、20年夏に前述の3区画の一部店舗、21年度には残りの区画および既存の施設のリニューアルを完了する。このほか、橿原神宮前駅や生駒駅などで店舗の入れ替えを計画しており、今後も各施設でリニューアルを進め、お客様の期待に応えていきたい。
(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2256号(2018年8月7日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.270