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第123回

京浜急行電鉄(株) 取締役 生活事業創造本部統括管理部長兼品川開発推進室部長 川俣幸宏氏


京急EXイン 20年に3000室目指す
宿泊事業をグループの柱の1つに

2018/4/3

京浜急行電鉄(株) 取締役 生活事業創造本部統括管理部長兼品川開発推進室部長 川俣幸宏氏
 京浜急行電鉄(株)は、羽田空港や大規模開発が進む品川駅に乗り入れることから、ホテル事業はビジネス客やインバウンド客の取り込みをテーマとする。さらには三浦半島のリゾート創生を進めており、ホテル事業もカギになるとみられる。同社のホテル事業について同社生活事業創造本部の川俣幸宏氏に聞いた。

―― ホテル事業の概要から。
 川俣 「京急EXイン」を2007年から宿泊特化型として事業開始し、現在13館で約2800室を展開している。ビジネス、観光、最近は訪日外国人の利用が増加している。
 また、旅館を含め、観音崎、油壺、城ヶ島、伊豆長岡に30~60室規模のホテルを運営している。

―― 京急EXインでは新しい客室づくりを進めていますが、その狙いは。
 川俣 ビジネス利用の方々にとって使い勝手の良い仕様としていたが、少し幅を広げる目的で、ビジネス以外でも宿泊のゆったり感を増したり、アメニティを含めてグレードを上げて、「選ばれるホテル」を目指している。競争力強化を目的として、訪日外国人のファミリー利用や女性グループ、家族連れの複数人利用など、より多様な顧客ニーズに対応する。昨年秋にオープンした「京急EXイン 羽田」もこのタイプで、「京急EXイン 高輪」を4月1日に、「同浅草橋」を3月30日にリニューアルオープンすることで、従来のビジネスホテルからワンランク上の新業態への第一歩を踏み出す。

―― 来春に浜松町に開業すると、約2900室になります。20年度までに3000室を目指していますが、今後の立地は引き続き京急沿線に。
 川俣 目標は今のところ十分達成できる見通し。立地については、浜松町・大門など直通運転している都営浅草線沿線も含めて展開する。沿線を基本としながらも、日本橋、東京駅、浅草エリアは魅力的だ。
 当社の路線は品川、羽田が軸になるので、この玄関口から流れてくるお客様をどう捉えるかが課題。例えば羽田空港からつながっているのが日本の主要都市だし、直通運転している成田空港からアジアなど世界へ広がる。ここも含めて我々の宿泊事業をどうしていくか、そこを見極めた上で展開していく。

―― 新ブランドの予定は。
 川俣 検討はしている。現在、様々なグレードがありながらもすべて京急EXインとしているので、どういう形でお客様にお伝えするか。一方で、簡易宿泊施設を開業する。

―― 具体的には。
 川俣 YADOKARI(株)と、京急線日ノ出町駅~黄金町駅間の高架下の一部に、移動可能な動産をベースにした「タイニーハウスホステル」を開設する。宿泊のほか、カフェラウンジ、近隣を流れる大岡川の水上アクティビティ拠点など、多機能を持った複合施設となる。カフェラウンジでは、ホステル宿泊者だけでなく、街に開かれたパブリックなコミュニティスペースとしても使用し、イベントやマルシェ、ワークショップなどを定期的に開催する予定だ。

―― ターゲットは。
 川俣 新しいもの好きな人やファミリー。また海外の方はこういう仕掛けに興味を持たれる。インバウンドの方の動きを見ていると、バックパッカーなどは、ノープランで来られる方も多い。そういう方々に安くゆっくり泊まれるなどの提案ができる。ニーズは多様化しているので、当社も宿泊事業の幅を広げる一環となる。

―― リゾートホテルについては。
 川俣 現在、三浦半島に3ホテルあり、年数も経っているので、今後再整備していく必要がある。その際、今までの延長でやるのか、グレードや中身を変えるのか、選択肢はいろいろある。都市近郊リゾート三浦の創生はグループの大きなテーマであり、その際に、ワールドワイドのブランドの力を借りることもありうる。
 また、都市近郊三浦のリゾート創生の一環として、三浦半島のブランディング化に取り組んでおり、若者に人気の高い(株)スノーピークと、横須賀市の観音崎京急ホテル内にグランピング施設「snow peak glamping京急観音崎」をオープンした。冬季でもお客様に来ていただいている。

―― 今後の抱負をお願いします。
 川俣 当社は羽田の玄関口へのアクセスを担う企業グループなので、その役割を担いながら宿泊という切り口で、お客様の利便性や快適性を高めることが大きなテーマだと思っている。まずは京急EXインの3000室体制構築を達成し、宿泊事業を1つの柱にしていけるような取り組みをしていきたい。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2234号(2018年3月6日)(7面)
 インバウンド4000万人時代 ホテル最前線 キーパーソンに聞く No.15

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