商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第63回

伊藤忠アーバンコミュニティ(株) ビルマネジメントグループ長補佐兼受託営業開発部長 松原信明氏


商業、ホテルなど152棟受託
オーク200に温浴施設導入
駅前型SCの再生に注力

2017/1/31

伊藤忠アーバンコミュニティ(株) ビルマネジメントグループ長補佐兼受託営業開発部長 松原信明氏
 伊藤忠アーバンコミュニティ(株)(東京都中央区日本橋本町2-7-1、Tel.03-3662-5211)は、北海道から九州に至る全国のビルやマンションを含む賃貸資産のプロパティマネジメント(PM)、建物管理などを手がけている。今回は、同社ビルマネジメントグループ長補佐兼受託営業開発部長の松原信明氏に、2016年4月に受託した複合施設「オーク200」(大阪市港区)延べ床面積約19万m²のリニューアル計画や、17年春受託予定のSC(香川県高松市)延べ床面積約9万m²の再生計画などを中心に話を伺った。

―― PM事業の受託実績は。
 松原 9月末時点で、建物用途別ではオフィス83棟、商業31棟、物流施設20棟、ホテル・ヘルスケア関連施設他18棟の計152棟を受託している。

―― 商業の直近の受託実績は。
 松原 4月に、大阪市が売却したオーク200を落札した米国投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループから受託した。1993年3月にオープンしたJR大阪環状線・地下鉄中央線弁天町駅直結の複合施設で、当社は1番館、2番館(東館、西館)、3番街を受託している。

―― オーク200のリニューアルについて。
 松原 まず16~18年度の3カ年で大きなリニューアルを実施する計画だ。商業施設の一部は18年度中に複合型温泉テーマパークとしてリニューアルオープンを目指しており、最低でも年60万人の集客を見込んでいる。

―― それ以外のリニューアルは。
 松原 そのほかの改装も段階的に推進しており、オフィスは現在3期工事を進めている。商業施設もテナントの充実を図る計画で、現在は意匠・アイデアを固めており、高感度テナントを誘致する計画も進行中だ。
 今後は商業施設として競争力を高めるため、統一されたオペレーションの実施なども検討しながらリニューアルを進めていく。

―― 17年春受託予定の香川県高松市の商業施設について。
 松原 駅前立地ではあるものの、これまでのデパート業態から駅前型SCに転換するなかで、周辺の商環境の激しさもあり、収益を伸ばすのは容易ではなかったようだ。

―― 収益向上計画は。
 松原 まず、モノからコト消費の転換を図り、カルチャー、クリニック、フィットネスなど指向性のあるテナントを上階に導入して館内に客を呼び込む。マタニティ・ベビー・キッズ専門店や大型書店など既存のキラーコンテンツもうまく活用したい。また、現状では各世代向けのテナントが各階に分散されているので、1フロア完結のフロアを構築する計画だ。
 さらに駅前立地ということもあり、シニアを取り込むテナントの誘致を強化する。具体的には、来年夏に食品スーパーを新たに開業するほか、カフェやレストスペースなども新規に導入し、日常使いしてもらえるような施設を目指す。

―― 高松周辺は郊外型SCが好調です。
 松原 高松周辺は商業施設が多数立地し、飽和状態の中でも郊外型SCに足を運ぶ客は多い。ただ、シニアは郊外型SCに足を運ぶことが容易ではないこともあり、当社としては駅前型SCである本施設の魅力を向上することで、シニアの郊外から駅前への回帰を促す核とする狙いだ。

―― 今後の目標は。
 松原 今後は、かつて優勢を極めた地方SCを再生していく仕事が増えると見込んでいる。時代の流れとともに変化する客の価値観に対応できる施設とすべく、これまで数多くの商業施設で稼働率を高めたノウハウを活かし、再生のお手伝いができればと思う。

(聞き手・玄行力記者)
※商業施設新聞2173号(2016年12月20日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.211

サイト内検索