スマートフォンアクセサリー専門店「ユニケース」を展開するCCCフロンティア(株)(東京都渋谷区猿楽町17-10、Tel.03-6455-0681)は、積極出店を続けている。7月に大阪と京都に2店、9月に中国エリア初出店となる広島店をオープンし、店舗数は17店となった。多店舗化を後押しするのは、スマホ市場の広がりだ。同社は、主要都市の集客力のある商業施設を中心に出店を進め、認知度を上げている。2014年にはCCCグループに入り、強力なバックアップも得た。同社の事業戦略について、執行役員の竹下結夏氏にお話を伺った。
―― 概要を。
竹下 ユニケースはiPhone、iPad、iPodやAndroid製品にまつわるスマートフォンアクセサリーの専門店で、取引社数は700社を超え、2万7000種類の商品をラインアップする。「面白い」「オリジナル」「可愛い」「トレンド」「便利」をコンセプトとし、ファッション性にこだわった商品を打ち出してきた。今はやりの手帳型やショルダーチェーン型のものなど、スマホケースの流行を牽引してきた自負がある。
―― ECからリアル店を出店しました。
竹下 代表をはじめエンジニア出身者が多く、11年2月にまず自社通販サイトを立ち上げた。その4カ月後に東京・原宿に1号店をオープン。小売業でEC発のリアル店が少なかった時代で、当時は珍しがられたが、元々ECと実店舗の両軸での展開を視野に入れていた。ネットとリアルで買い物をする楽しみやニーズは異なり、双方で補完し合うことでブランドの価値を高められると考えている。
また、デザインチームやエンジニアが社内にいるため、自社ですべてまかなえるのも強い。機動力の高さには自信がある。
―― 競合が増えています。
竹下 スマホの普及でアクセサリー、周辺機器の市場も大きく広がり、17年の市場規模は約3000億円と予想される。以前はシンプルで比較的安価なものを求める人が多かったが、市場の成熟に伴い、専門店が増えた。近年、郊外モールや都市型SCでもスマホアクセサリー店は常連テナントとなっている。洋服を選ぶように、「ファッション」の一部としてスマホケースを購入する人も増えてきた。業界が盛り上がり、さらなる活性化につながれば、より当社の強みが生かせる。
―― 貴社の強みとは。
竹下 まず人材面だ。多店舗化を始めてすぐ、スタッフの全正社員化に踏み切った。他社に先駆けフィルム貼りサービスを実施してきたが、お客様の大事なスマホをお預かりするため、自社規定を設け、合格するまで繰り返し練習する。習得には2~3カ月は要する。また、面や量で強みを持つ家電量販店と差別化するには、提案力と豊富な商品知識も必要で、お客様と密なコミュニケーションをとり、リピートにつなげている。こういったサービスはアルバイトでは難しい。さらに、数字に対しても全員で責任を持ち、地方店とも綿密なコミュニケーションをとることができ、団結力もある。
―― PB商品比率が高いです。
竹下 有名ブランドとのオリジナルコラボ商品や限定オリジナル商品で付加価値を出している。PBではトレンドの色、柄、企画をいち早く取り入れることができる。特にこの2年で強化しており、売り上げの15%を占める。デベロッパー、ユーザーからも他社にない商品を揃えている点が評価されている。今後は50%に近いところまでもっていくつもりだ。
なお、ケースとお揃いの雑貨や小物類が欲しいという声も多い。こういった商品群も拡充しており、さらに比率を高める。季節ごとに商品を出し、スマホアクセサリーを雑貨や洋服のポジションにまで成長させたい。
―― 立地について。
竹下 当社の強みが生かせる立地は、ファッションに通じる商業施設だと考え、展開を進めてきた。現在、北海道、神奈川、東京、名古屋、京都、大阪、広島、福岡といった都心部に17店を構える。
ユーザーの構成はネット、実店舗ともに男女比率が半々なので、男性も入りやすい白と木目調のシンプルな内装を基本としながら、施設のコンセプトや特性に合わせた店作りを行っている。SCでは雑貨業態や男女で回遊できるユニセックスなブランドへのニーズが高まっているため、そういった集積のあるフロアへの出店が多い。当社はアパレルブランドとのコラボも多く、周辺テナントと親和性も高い。
―― 今後の展開を。
竹下 具体的には17年4月に名古屋の「JRゲートタワー」に出店する計画だ。さらに横浜、銀座、渋谷、仙台、新宿なども考えている。ターミナル駅は独立した商圏が確立されており、例え隣駅であってもニーズはある。ここに30坪程度のエリア旗艦店を出していく。
なお、アップルストアの周辺は安定した需要があり、魅力的な立地だ。銀座、渋谷、仙台はアップルストアがあるが、ユニケースはまだないので、ここへの出店は優先事項だ。
また、継続して、主要都市のファッションに通じる商業施設に15坪程度で出店し、エリア旗艦店と合わせドミナント式で面を広げていきたい。CCCグループの強みを生かし、いずれ海外も視野に入れている。
(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2164号(2016年10月18日)(5面)
商業施設の元気テナント No.205