商業施設新聞
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No.337

梨畑が近代都市に


永松 茂和

2011/10/4

 日本を代表する電気街である秋葉原駅周辺エリアは、2005年のつくばエクスプレス(TX)秋葉原駅の開業やヨドバシカメラマルチメディアAKIBA、さらに神田青果市場跡に建設された最先端のITビル「秋葉原クロスフィールド」の完成によって大きく様変わりしている。「家電→PC→アニメ系→ビジネス系」という大きな変遷があり、メーンストリートである中央通り沿いには、アキバ系の代名詞とも言えるアニメ系ショップが立ち並ぶ光景が今も続いている。電気街と反対側の東口に、TX秋葉原駅に直結して国内最大規模の家電量販店であるヨドバシカメラマルチメディアAKIBAが開店したことで、家電製品を買い求める客の流れも大きく変わった。

 秋葉原を大きく変えたのは、何といっても駅周辺の約22万m²に及ぶ広大な敷地で行われた土地区画整理事業だ。UDX、ダイビルに代表される最先端ITビルの秋葉原クロスフィールド、40階建て高層住宅の「TOKYO TIMES TOWER」(318戸)、富士ソフト秋葉原ビル(31階建て延べ5万8400m²)など、従来の秋葉原にない最先端施設、高層住宅や駅前広場、東西自由通路などの整備が完了し、駅構内、周辺へのアクセスも大幅に向上している。
 土地区画整理事業は、その土地の状況に合わせ市街地整備を行う代表的な手法であるが、秋葉原は街を変えた代表モデルのひとつとも言える。
土地区画整理事業で大きく変わった秋葉原駅前
土地区画整理事業で大きく変わった秋葉原駅前

 ところで、つい最近、千葉県内のベッドタウンにある、駅近くの病院へ久しぶりに行った時のこと。駅周辺が整備され、街並みが近代的に整備されていたことに驚いた。駅近くには大規模なイオンのショッピングセンターや、大型商業施設が数店あり、高級そうなマンションが数棟建設され、ビジネスホテルまである。また、近くの幹線道路沿いには、各種レストランやファーストフードがこれでもかというほど出店している。医、商、住が近接に揃った理想的な街ができ上がった。
 当然のことながら人口も急増していると聞く。10年位前に訪れた時は、周辺には大規模施設が市役所程度しかなく、あたり一面には梨畑が広がっており、あまり住みたくはない街だなぁ、と思ったことを記憶している。
 そもそも、この駅は3路線が交差するターミナル駅であり、発展するポテンシャルは当時からあったのだが、やはり街が変貌する大きなきっかけとなったのは土地区画整理事業だ。秋葉原土地区画整理事業の3倍、約60万m²の広大な敷地に計画戸数1810戸、計画人口5700人で計画。整備が進むにつれて、商業施設や医療施設などが集まるのは当然とも言える。

 土地区画整理事業は現在、全国で約1400事業が計画・進行しているが、ここ数年来の景気低迷に伴い、換地処分が困難で、事業の進捗が思うように進まないという声も聞こえてくる。ただ、秋葉原や今回見た周辺の土地区画整理事業を目の当たりにすると、街づくりには必要な事業の1つと改めて実感する。

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