商業施設新聞
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第47回

(株)コスメネクスト 代表取締役社長 遠藤宗氏


今期は多様な業態の出店推進
年間10店で出店加速

2016/10/4

(株)コスメネクスト 代表取締役社長 遠藤宗氏
 化粧品専門店「@cosme store」を首都圏を中心に12店展開する(株)コスメネクスト(東京都港区赤坂1-12-32、Tel.03-5575-1280)は、前期(6月)は下期を中心に5店を出店、今期はすでに1店をオープンし、3店の出店を予定しており、出店のギアを上げる。1号店であり、旗艦店でもあるルミネエスト新宿店(東京都新宿区)は、年間売り上げ13億円と国内のコスメショップで最大の売り上げを誇り、上野マルイ店(東京都台東区)が11億円とそれに続く。他の既存店も毎年売り上げを更新し、まさしく「元気テナント」といった存在だ。同社代表取締役社長の遠藤崇氏に好調の要因と、今後の展開についてお話を伺った。

―― 店舗の特徴を。
 遠藤 日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」から生まれた化粧品専門店。ドラッグストアから百貨店ブランドまで多様なブランドを網羅し、取り扱いブランドは約300以上にのぼる。圧倒的な品揃えを活かすのは、「トライアル」「カウンセリング」「ランキング」の3つの仕掛けだ。店内にあるほとんどの商品を試すことでき、診断機を利用したカウンセリングで一人ひとりに最適な商品と使い方を提案する。さらに売れ筋やクチコミが一目でわかるランキングコーナーで、ブランドを横断して自分に最適な“運命コスメ”と出会える場所を提供している。

―― 展開について。
 遠藤 2007年に1号店をルミネエスト新宿にオープンし、年に1店程度のペースで首都圏を中心に出店してきた。このゆっくりとしたペースは、1店ずつ着実に育てることに力を注いできたためだ。その結果、既存店の売り上げは右肩上がりに推移し、ルミネエスト新宿店は国内1位の売り上げを誇るまでに成長した。前期から積極的な出店を進め、西日本を中心に5店を出店した。

―― 小型業態「@cosme store mikke!」を立ち上げました。
グランスタにオープンした新業態
グランスタにオープンした新業態
 遠藤 7月に東京駅構内地下1階のエキナカ商業施設「グランスタ」内に同業態をオープンした。「ランキングコーナー」「クチコミ検索機」「ぴったりナビ」といったセルフでも買い物しやすいコンテンツも拡充した。通常店は標準面積70坪ほどで、その面積ゆえにスムーズな出店につながらないケースもあった。20坪程度の機動力の高い小型店舗を開発することで、スムーズな出店につなげたい。なお、初のエキナカ立地であるため、クイック、セルフ需要が多いものと予想していたが、意外とじっくり商品を選んだり、カウンセリングへのニーズも高い。今後の動きを見て、微調整を行っていくつもりだ。

―― 店舗の裁量が大きいです。
 遠藤 常にお客様と接し、顧客の動向やニーズをタイムリーに把握しているのは店頭なので、MDは店舗主導で行えるよう権限を持たせている。立地によって客層が異なるため、店舗ごとに細かいチューニングを行っているが、これはスタッフの力が大きい。商品はほぼ同じだが、商品を紹介するPOPだったり、見せ方や打ち出し方が店ごとに異なっており、店ごとに個性がある。

―― 立地について。
 遠藤 これまで、広域から集客できるトラフィックの良い場所、都心の一等地を中心に出店を進めてきた。都心では新宿、上野、渋谷、池袋、有楽町に店を構えている。小型業態が加わったことで、駅ナカなどこれまで出店しにくかった場所にも展開が可能となった。今後は、基本的にターミナル駅への出店を考えている。また、ツタヤとのコラボレーション店を札幌市にオープンする予定で、ロードサイド型店舗となる。これは新しいチャレンジとなる。

―― アイスタイルグループの中核事業に成長しました。
 遠藤 「@cosme store」事業の売上高は16年6月期は47億円で、グループ全体の約33%を占め、グループの中核事業に成長している。前期に開店した5店はほとんど期末のオープンだったため、売り上げへの影響は少なかったが、今期の業績を確実に押し上げるだろう。また、新宿、池袋に新店をオープンすることで、ブランド認知度アップとともに、既存店との相乗効果で大幅な売り上げ増が見込まれる。

―― 支持される理由は。
 遠藤 PB商品もなければ、価格も定価なので価格政策面で優れているわけでもない。それでもたくさんの人に足を運んでいただけるのは、誰もが楽しく買い物できる環境を作っているからだ。価格帯は100~数万円と幅広く、ブランド横断型で多様な商品数を誇る。試供できる環境、ランキングやクチコミといった情報と接客を組み合わせることで、「どんな化粧品を使っていいのか分からない」「化粧品選びで失敗したくない」というニーズにも応えている。エントリー層からコスメ好きまで、それぞれが思い思いにコスメに出会える場を提供している。

―― 今後の計画を。
 遠藤 直近では、ツタヤとのコラボレーション店を札幌にオープンし、既存業態を池袋サンシャインシティ、新業態をルミネ新宿に出店し、様々なタイプの店舗にチャレンジする。既存業態と小型業態、ツタヤとのコラボレーションモデルなど、各モデルで出店ペースを加速し、年間10店程度の新店を視野に入れている。20年には50店規模にし、売上高140億円を目指している。なお、海外展開も計画しているが、今期中にはアジアに進出する。

(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2158号(2016年9月6日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.201

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