商業施設新聞
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第26回

(株)エース 取締役 経営統括副本部長 冨沢高志氏


多様なニーズに応えるグロサリー専門店
ブランディングと積極出店に注力
17~18年度に100店体制目指す

2016/5/10

(株)エース 取締役 経営統括副本部長 冨沢高志氏
 (株)エース(東京本部=東京都江東区富岡2-1-9、Tel.03-5639-1448)は、各種商業施設にグロサリー専門店「北野エース」「KITANO ACE」を展開している。顧客やデベロッパーの多様なニーズに応える品揃え、出店戦略でブランドを構築し、価値を高め、施設の集客にも貢献する。今後、さらなる拡大、新たな取り組みにチャレンジし、2017~18年度に100店体制を目指す。同社取締役経営統括副本部長の冨沢高志氏に伺った。

―― 足元の状況は。
 冨沢 15年度(16年2月期)の年商は、当社単体で約245億円となり、前年度比約2%増、利益も順調に推移し、増収増益となった。当社はグロサリー専門店以外に食品スーパーも展開しているが、15年度はスーパー5店を閉鎖しながら、増収増益を目指すミッションがあった。グロサリー専門店を13店出店できたことなどもあり、結果的に(増収増益を)達成できた。

―― 現在の店舗数は。
 冨沢 今は、グロサリー専門店で和日配を中心とする「北野エース」、洋日配品を揃える「KITANO ACE」、アウトレットの「KITANO ACE ONE」の3業態を中心に、全国で76店を展開している。施設別では百貨店32店、駅ビル14店、SC21店、その他9店。フランチャイズ(FC)も1店ある。
 店舗サイズは既存店で24~120坪と幅広いが、坪効率的にも70坪くらいが最も出店しやすく、アイテム数は4000~4500SKUくらいが最もパフォーマンスを出せる。店づくりはデベロッパーの要望に沿うようにし、売り場も店ごとに違うのが特徴だ。

―― 新業態のアウトレット店について。
16年度は7店の出店を計画(写真はKITANO ACE ららぽーと海老名店)
16年度は7店の出店を計画
(写真はKITANO ACE ららぽーと海老名店)
 冨沢 KITANO ACE ONEの1号店を大阪のららぽーとEXPOCITYに出店した。2号店はまだ見えないが、1号店の検証も踏まえ、さらにパフォーマンスを発揮できる立地を探している。

―― 手応えは。
 冨沢 まずまずといったところだ。急な多店舗化はしないが、出店を進めていきたいと考えている。当社は関西でスーパーのイメージが強いが、同店の出店でエースはこうやって変わったと認知してもらえるきっかけになったと思う。

―― 出店の推移、今後の計画は。
 冨沢 14年度は11店、15年度は13店と、順調に2桁出店を継続してきた。デベロッパーから評価をいただき、要請も多かった。また、これまでは受け身の態勢でいたが、今はこちらからセールスをして出店するようになってきて、ようやく原型ができた。
 16年度は7店の新規出店を計画している。エリアは関東圏が4店、その他が3店で、3月30日には東京都足立区の北千住マルイに新規オープンする予定だ。また、少し先だが、中四国エリアは17年度に進出できそうなめどが立った。アウトレット店も17年度以降に拡大していけそうな見通しを立てている。

―― 競合他社と差別化を図っているところは。
 冨沢 15年度最も売れたのは「あご入りだし」で、当社は洋のものが売れるイメージだが、実際は和のものがよく売れる。これは百貨店への出店が多いことも関係しているが、他社とは大きく異なる点だ。こうした強みを活かし、デベロッパーの要望に応じて取り扱いアイテム、MDを変えるなど、柔軟に対応できるところで差別化が図れていて、それが1店1店の店づくりが違うことにつながる。

―― カレーの陳列が話題に。
 冨沢 これは偶然から生まれた。限られた売り場の中で、いかにたくさんの商品を並べ、多く見せるかとなった時に、平置きでなく、本棚形式で並べるということになった。これを機にラーメンの袋麺の見せ方などもこだわるようになった。

―― 新業態の開発は。
 冨沢 限られたエリアになると思うが、アウトレットと真逆の超アッパーグレードブランドを展開したい。まだ先の話だが、ゆくゆくこうした業態もあっていいと思う。

―― 今後の展開は。
 冨沢 店舗展開が進み過ぎるとニッチじゃなくなるというのも一方で考えている。北野エース、KITANO ACEの屋号の展開は100店くらいがちょうどいい。その上で超アッパーグレードの業態やアウトレット、FCがあったりしたらいいと思う。
 今年度も北野エース、KITANO ACEを中心に据えて展開を進める。同業態は17~18年度に100店規模になる予定だ。これを近い目標とし、達成すれば同業態の出店は落ち着き、ほかの新しい業態の開発や拡大も進めていく。

―― 最後に抱負を。
 冨沢 当社のお客様はデベロッパー、顧客、取引先の3つ。これらすべてに満足していただくことが使命だ。当社含め4者が満足できる商売を続ける。これまでの事業にとどまらず、新しいことにもチャレンジし、専門特化の強みを活かした展開をしていきたい。

(聞き手・若山智令記者/大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2136号(2016年3月29日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.183

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