(株)Japan Duty Free Fa-So-La三越伊勢丹は1月27日、三越銀座店8階に空港型免税店「Japan Duty Free GINZA」をオープンした。客単価は想定以上に高く推移するなど滑り出しは好調で、今後は認知度向上などに努める。同社取締役営業部長の久保俊一氏にオープン後の動向を聞いた。
―― 同店の概要を。
インタラクティブゾーンではカードに応じて
文字や映像が投影される
久保 沖縄県以外で初めてオープンした空港型の市中免税店だ。化粧品売り場、酒、たばこ、ラグジュアリーブランドなどを販売する。空港の免税店ではフライトの時間を気にしながら買い物しなければならないが、市中にあることでじっくりと買い物していただける。
売り場には航空券を模したカードを置くと映像や文字が投影されるインタラクティブゾーン(写真)もあり、様々な案内やアートを楽しめる。オープン後1年間の売上高は約150億円を計画している。
―― 足元の状況はいかがですか。
久保 客単価は想定以上に好調に推移している。当初、3万円と予想していたが、オープンして2週間では約4万円だ。商品としては化粧品が非常に売れており、日本ブランドのスキンケアものが好調だ。総じて日本ブランドの評価が高い。極端に安くなくとも品質に対する信頼感があるようだ。
購買傾向としては20~30点を一気に買う方はほとんどおらず、一品単価が比較的高い。
―― 客層は。
久保 国・地域別で言うと中国が80%近い。これは春節直前にオープンしたこともあるだろう。次いで日本が約15%を占める。そのほか韓国、台湾や東南アジアの方にも多く来ていただいている。中国は景気の変動があるようだが、現時点では影響はない。客数で言うと1日で8000~1万人程度が来店する。
―― 訪日客は団体と個人に分類できますが。
久保 多くの国の方に来店いただくが、個人客が大半を占める。当店としても個人の方を主なターゲットとしている。というのも団体旅行は「何時までに集合」となるためゆっくり買い物ができず、当店の特徴を発揮できない。
商材としても、比較的ぱっと買える食品などより、じっくり買い物をしていただけるものを揃えている。とはいえ、団体の方をお断りする理由は一切ない。ツアーコンダクターの方が下見に来ることもあり、今後は団体客も増えていくだろう。
―― では今後も客数は増えていきそうですか。
久保 そう思うし、まだまだ認知度が不足していると感じる。三越銀座店に来館した方がたまたま8階まで上がってきて当店を知ることも多い。下のフロアにある化粧品売り場では当店で買ったほうが安いと案内していただくこともあるが、もっと店のアピールが必要だ。
現在、各国の旅行会社などに積極的に案内しているほか、三越は海外にも出店しているので、ハウスカードをお持ちの方にも案内している。
―― 三越銀座店は大半の店が免税対応していますが、差別化は。
久保 商材が重複しないようにしたり、化粧品などは独自の商品やセットを販売している。また、当店で計3万円以上を買うとオリジナルバッグをプレゼントしており、これがかなり好評だ。
―― 銀座では3月末にロッテ免税店がオープンします。
久保 扱う商材が少し違うようなので自然とすみ分けができるだろうし、一緒に市中免税店を広げていきたい。まだまだ空港で商品を受け取ると知って驚く方も多く、このビジネスモデルを浸透させたい。
―― 銀座は多くの訪日客で賑わっています。
久保 多くの方が銀座に来るが、バスが停めにくいなど必ずしも便利ではない。銀座は商店街のつながりが強いので街として対応、潤う方法を考えていきたい。当店としても店内のインタラクティブゾーンを使って銀座の名所案内などできれば面白いので、様々な活用法を考えていきたい。
(聞き手・副編集長 永松茂和/高橋直也)
※商業施設新聞2133号(2016年3月8日)(5面)
ゴールドラッシュ!! 訪日客を掴み取れ No.5