2015年11月20日に開催された国際機関日本アセアンセンター主催の「ASEAN医療ビジネスセミナー―ASEANの医療分野におけるニーズと課題―」で、(株)アジア戦略アドバイザリー 代表取締役の杉田浩一氏が行ったセミナー「東南アジアの医療機器市場におけるニーズと課題~タイ、ベトナム、ミャンマーを中心に~」を紹介する連載3回目は、ベトナムにフォーカスし、杉田氏の解説による人口増・高齢化などの成長ドライバー、需要の決定要因、医師に対するアプローチポイントなどをお伝えする。
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◆日本製医療機器のシェアは欧米勢と拮抗
ベトナムの医療機器市場は、東南アジアではタイに次ぐ規模で、さらに14年の約906億円から19年には約1900億円へと急速な拡大が見込まれる。
医療機器市場は、国内の医療機器生産基盤が未成熟で、現地生産は消耗品などごく一部に限られることなどもあり、90%以上を輸入に依存している。
ベトナム市場における日本の医療機器メーカーのプレゼンスは欧米勢と拮抗する。同氏は、日本メーカーのシェアが高い機器として、画像診断機器、CT装置、その他電気診断機器、X線フィルム、歯科用セメント、吸入器、滅菌器、MRIなどを挙げている。
なお、医療機器の機器別輸入割合は、画像診断機器30%、患者補助具14%、消耗品13%、整形外科・人工装具8%、歯科製品4%、その他31%。国別の輸入割合は、米国18%、日本17%、ドイツ13%、中国11%、韓国7%、フランス4%、その他30%となっている。
◆世界史上かつてない速度で高齢化
同氏は、ベトナムの医療機器市場拡大が見込まれる背景として、(1)経済発展に伴う所得の増加、(2)人口増加と今後の急速な高齢化、(3)政府の国民皆保険を目指した取り組みを挙げている。
(1)は、ベトナム経済は1990年以降、平均6.9%の高成長を維持し、貧困国から脱して低中所得国に加わったが、依然経済規模が小さいのが現状。しかし、15年9月30日にハノイで開かれたベトナム世界投資フォーラムで、ブイ・クアン・ビン計画投資相は、15年のGDP成長率は6.53%との見通しを示しており、16年はこれを上回る6.7%になるという、さらなる成長を予想している。
(続きは本紙で)