2015年11月20日に開催された国際機関日本アセアンセンター主催の「ASEAN医療ビジネスセミナー―ASEANの医療分野におけるニーズと課題―」で、(株)アジア戦略アドバイザリー 代表取締役の杉田浩一氏が行ったセミナー「東南アジアの医療機器市場におけるニーズと課題~タイ、ベトナム、ミャンマーを中心に~」を紹介する連載2回目は、タイにフォーカスし、医療機器市場、公立・私立病院の特徴や、医師に対するアプローチポイント、日本企業に求められる事項などを説明した。
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◆タイ医療機器市場は19年に約3000億円へ
タイの医療機器市場は、東南アジアではマレーシアに次ぐ規模で、09年から14年まで年間平均11.2%の成長を続けてきた。今後も14年の約1460億円から、19年には約3000億円へと同15.5%での急速な拡大が見込まれる。
医療機器の生産基盤が未発達なことなどもあり、タイでは75%を輸入に依存している。日本の医療機器メーカーのプレゼンスは欧米に劣る。日本企業のシェアが高い機器は、針、歯科用エンジン、CT装置、透析関連製品などがある。一方で、超音波診断装置などは、日本企業が国際競争力を有しながらも、タイ市場ではシェアが低いという課題もある。
医療機器の機器別輸入割合は、画像診断機器24%、消耗品22%、整形外科・人工装具10%、患者補助具8%、歯科製品7%、その他29%となっている。国別輸入割合は、米国29%、日本13%、ドイツ11%、中国9%、スイス5%、韓国、アイルランド各4%、オランダ3%、英国、フランス、シンガポール各2%、マレーシア1%、その他15%となっている。
◆高齢化や中間所得層の増加が成長ドライバー
同氏は、タイ医療機器業界の成長ドライバーとして、(1)高齢化と人口増加、(2)中間所得層の拡大、(3)メディカル・ツーリズムに伴う外国人患者の増加を挙げている。
(続きは本紙で)