商業施設新聞
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第2回

(株)ヤマハミュージックリテイリング 代表取締役社長 葉山和雄氏


楽器販売、音楽教室など展開
若年層の開拓を強化

2015/11/10

(株)ヤマハミュージックリテイリング 代表取締役社長 葉山和雄氏
 総合楽器メーカー、ヤマハの1号店で旗艦店である「ヤマハ銀座店」は百年を超える歴史を有し、銀座でもシンボル的な場所として、多くの人々から愛されてきた。楽器類の販売だけでなく、試弾室や防音室を完備し、スタジオや音楽教室、ホールを併設するなど、「音楽」を文化として、楽しむことができる。銀座店だけでなく、各店でも地域に密着し、音楽をより身近なものとするべく、様々な取り組みを進めている。老舗として圧倒的な存在感を持つヤマハの店作りや展開について、(株)ヤマハミュージックリテイリング(東京都港区高輪2-17-11、Tel.03-5488-6723)代表取締役社長の葉山和雄氏にお話を伺った。

―― 店舗のリニューアル・移転が活発です。
 葉山 今年は3店を移転した。まず、4月に大阪・南堀江に地上7階建てのビルを新築。1、2階が大阪なんば店の店舗で、3階がホールとグランドピアノのショールーム、4~7階が教室という構成で、西の旗艦店と呼ぶにふさわしい店舗だ。
ヤマハ福岡店の店舗外観
ヤマハ福岡店の店舗外観
 さらに、6月に福岡店、7月に札幌店を移転リニューアルした。福岡店はオープンして50年、札幌店は40年で、地元に根差した店舗として歩んできた。そのため立地を大幅に変えたわけではなく、利便性の良さ、視認性の良さ、周辺環境との親和性の高さを意識した。
 福岡店は複合施設「アクロス福岡」の地下1階に移転。同施設はショッピングゾーンのほか、シンフォニーホールや国際会議場も有しており、音楽好きの人も集まる理想的な立地だ。札幌店は、北海道を代表する大手お菓子メーカーの六花亭が開業する「六花亭札幌本店」の3、4階にオープンし、札幌エリアの音楽発信の拠点として注目が集まっている。移転が功を奏し、幅広い層に足を運んでいただき、店舗が活性化されている。

―― 店舗展開について。
 葉山 現在は東西に旗艦店を1店ずつ、全国の主要都市に重要店を8店、中核店が17店など、店ごとに役割を変えながら、全国に34店を展開している。店舗は面積の関係などもあり、銀座店ほどのコンテンツを有してはいないが、「ヤマハであれば大丈夫」という信頼感を持って足を運んでいただいているので、主力の鍵盤楽器、楽譜、管弦楽器の品揃えには注力している。
 主要都市を網羅しているので、店舗数についてはこの規模感が適正だと考えており、来年には神戸、名古屋、広島、仙台店をリニューアルする計画だ。

―― ターゲット層は。
 葉山 中高年層の認知度が高く、来店いただくお客様の年齢層は高めになってきている。エリアごとに主要ターゲットに合わせたマーケティングを行いつつも、新たな層を開拓するべく、若年層へのアピールを進めている。その施策のひとつとして、中学、高校の吹奏楽部の学生に向け、「吹部キャンペーン」を店舗で行っている。関連商品も充実させており、リードなどは1枚でも購入できるようバラ売りにも対応している。

―― 店作りについて。
 葉山 楽器の総合店としての役割を果たすには、ある程度の店舗面積が必要となる。「欲しい商品を網羅していること」が当社に期待されていることであり、それを体現できるのが強みだ。また、実際に楽器を試せる環境が整っているのも、他社にはない大きな特徴だろう。試弾室や試奏室、防音室など、最高の設備を完備している。
 なお、以前は間接照明を使用していたが、若者も入りやすいよう、照明を明るくするなど、入店しやすい店作りも進めている。

―― 体験イベントが多いですね。
 葉山 興味・関心を持ってもらうには、実際に楽器に触れてもらうのが一番だ。そのため店頭でも積極的に楽器と触れ合える機会を創出しており、このイベントが入店にもつながっている。楽器を渡して終わりではなく、スタッフが持ち方や音の出し方をサポートし、音が出るようになれば一緒にセッションも体験できる。
 銀座店の1階では夏に様々な楽器に触れ合えるイベントを開催しており、ファミリー層に好評で、夏休みの風物詩として定着している。

―― 教室運営がもう一つの事業の柱です。
 葉山 幼児から大人までが通える音楽教室と、子ども向けの英語教室をSCや商業施設を中心に全国に380拠点で展開している。音楽教室は、年齢層が幅広い。ピアノは相変わらず子どもの習い事として人気が高く、学びや趣味に力を入れる大人も多いためだ。4~6歳の子ども、大人では40代がボリューム層だ。初心者向けのプログラムが多いが、シニア向けのコンテンツや音楽をリスタートする人向けのプログラムなど、さらに拡充していきたい。
 幼児向けの英語教室としては当社が一番のシェアを誇る。競合も多いが小学校での英語授業が必修化することも追い風となるだろう。

―― 抱負をお願いします。
 葉山 我々には、音楽を楽しんでもらいたいという想いがある。店舗も音楽教室もこれをモットーに展開してきた。そのため、店舗は商品力もイベントも含め、いつ来店しても新しい発見ができる「ワクワク感」のある店舗を目指している。ブランドとしての歴史を大切にしながら、新しい層も取り込み、より愛されるブランドとして成長していきたい。

(聞き手・大塚麻衣子記者)

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