ルネサス エレクトロニクスの売上高は、2022年度の1兆5028億円をピークに下がり続けている。23年度は1兆4697億円、24年度は1兆3845億円、そして25年度は1兆3185億円とダウンが続いているのだ。
しかしながら、同社は30年ごろをめどに売上高を25年比で2倍に引き上げる方向を示している。すなわち、30年ごろには2兆6000億円以上の売上高を目指し、急ピッチで各分野の半導体拠点を強化していく考えなのである。
強化ポイントの筆頭格は、GaNパワー半導体であり、とりあえずは米半導体企業のポーラーセミコンダクターの8インチウエハーでの生産を強化する考えである。SiCについては、先行きが難しいとの思いからGaN一本に絞った施策を取っている。
GaNパワー半導体は、24年6月に買収が完了した米トランスフォームをメーンに拡大していく考えだ。トランスフォームの持つ旧会津富士通工場において6インチ生産を行っている。今後は8インチ生産も計画したいがために、ポーラーとの提携を組んだのである。
ルネサスは将来的に甲府工場のGaNパワー半導体の生産も計画したいとしている。300mmウエハーを活用し、将来的に量産拠点として機能させる考えだ。その一方で、高崎工場については2~3年後をめどに閉鎖する方針を固めた。150mmラインでは、生産設備の安定稼働が難しいからだ。敷地内にあるパワー半導体などの研究開発機能は近隣施設への移転を検討する。
ルネサスは甲府工場でGaNパワー半導体の300mm生産を検討している
さて一方で、ルネサスの秘密兵器ともいうべき半導体がいよいよ本格的に動き出す。甲府工場に300mmの新設備を導入するが、これをGaNパワーデバイスに活用するだけではなく、電源ICの量産設備として拡充していく計画を検討している。
あまり知られていないことではあるが、電源ICについてはルネサスが持つシェアは40%もあり、世界トップを走っているのだ。車載マイコンと並んで世界トップシェアを持つ数少ない品目なのである。
とりわけ、凄まじい勢いで建設が進む世界のデータセンターにおいては、今後スイッチング電源が本格導入されるといわれている。この分野では、京都の電子部品大手である村田製作所がMLCC(積層セラミックコンデンサー)に次ぐ柱として位置づけている。
ルネサスもまた、村田製作所と同様にデータセンターの電源向けICを強化していくのだ。30年に予定される売上倍増というアクティブプランの1つとして電源ICを位置づけているようなのである。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 執行役会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。