全世界の半導体設備投資は当初30兆円の予定であった。これが上方修正され、40兆円に跳ね上がる見通しであり、半導体製造装置の国内各社はまさにウハウハ状態!となっているのである。
各社ともまさに大幅増収であり、笑いが止まらないとはこのことであろう。国内トップの東京エレクトロンは、25年度の売上2兆4435億円に対し、26年度は3兆円以上になることが確実になっている。2番手のSCREENは25年度売上4859億円に対し、26年度は6000億円までいくことは確実なのだ。KOKUSAIもまた、25年度売上の2351億円に対し、26年度は2800億円まで持っていく。
世界最大のファンドリー企業であるTSMCの巨大投資とDRAM各社(サムスン、SKハイニックス、マイクロン、キオクシア)の積極投資が大きく牽引しているのである。
芝浦メカトロニクスはFCボンダーなど後工程分野が好調
ここにきては、前工程もさることながら後工程分野の投資拡大も目立ってきている。東京エレクトロンは先端パッケージ部門が絶好調であり、芝浦メカトロニクスは先端パッケージ向けFCボンダーが大きく伸びている。半導体テスターの世界最大手であるアドバンテストは引き続き、高い増収率を見込み、東京精密も高性能プローバーなどが牽引役となっている。
同じく後工程装置の大手であるTOWAは、京都事業所の敷地内に新工場を建設、投資額は50億円。これまで、半導体装置は海外工場と国内の委託先で生産してきたが、経済安全保障の観点から京都に新たな投資を決めたのだ。
伸和コントロールズもまた、長崎県大村市に80億円を投じて新工場を立ち上げた。同市内にある既存工場の2倍の生産力を備えており、27年1月に本格稼働させる予定。新工場は延べ8900m²、同社が得意とする温度調節装置などを量産する。
後工程における日本企業の動きにも目を見張るものがある。直描式露光機でトップシェアを持つオーク製作所は、配線幅/配線間隔1μmという解像度を実現し、半導体製造の後工程で使われる装置として世界の注目を集めている。直描式はフォトマスクを使わないという利点があり、ドライフィルムレジスト、液状レジストの両方に対応するこの装置は、光源はドライフィルムレジストではh線、液レジでポリイミドに描画する場合はi線を使うのだ。
ニコンもまた、直描式露光機市場に参入している。同社の場合は配線幅/配線間隔1.5μmというスペックであり(注:1.0μmに対応モデルも投入中)、独自のマルチレンズ方式によって基板の大型化が進んでも容易に対応ができるのだ。
半導体製造装置という分野では、世界シェアの3分の1を持つといわれる日本企業はここにきて一気増収を進めるとともに、後工程をはじめとする新たな分野で意欲的な新開発装置を投入しており、まさに目を見張るものがあると言えるのだ。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 執行役会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。