インドは実に暑い国である。しかして、インド一国だけでヨーロッパと同じ面積、人口を持つ国なのである。そしてまた、インドのスタートアップ企業は18万人もおり、若者たちが次々とベンチャーを立ち上げているのだ。
そしてまた、インドは親日の国であり、日本人大好きなのである。何しろ、インドを走る自動車の大半が日本のスズキなのである。さらに、インドでのシェアを拡大すべくスズキは同国に1兆円の投資を断行する。一方、総合商社の丸紅はインドに工業団地を立ち上げている。人口14億4000万人を突破し、中国を上回る世界第1位の人口国であるからして、世界のすべてがインドに注目するのは当然のことと言えよう。
さて、そのインドにおいて、すごい勢いで半導体国産化の動きが広まっている。インドの半導体市場は2023年の439億ドルから30年には1034億ドルに達すると予測されている。スマートフォン市場の拡大が牽引し、自動車分野においても高い伸びを示すと思われるのだ。
そこで、政府による半導体産業支援がかなりの勢いで推進されている。現行の補助金は中央政府が投資額に対する50%、州政府はこれに上乗せし、25%の補助金を拠出するというものであり、まさにバラまきとも言える施策なのである。半導体製造装置や半導体部材への補助金を含む支援策も実行されていく方向にあるのだ。
こうした状況下で、富士フイルムはインドのグジャラートに130億円を投じて大型の半導体材料工場を建設する。さらに加えて、同社はタタ・エレクトロニクスとの間でサプライチェーンの構築に向けた提携強化に関する基本合意書を締結した。ちなみに、タタは1兆5000億円を投じインドのグジャラートに300mmウエハーの半導体工場を建設中、28nm~110nmのチップを製造する予定になっている。
住友化学もまた、タタ・エレクトロニクスと半導体材料供給での連携を検討している。さらに、東京応化工業、東レ、SUMCOなどもインドに進出を検討しているもようだ。
9月に開催されたSEMICON India 2026も大きな盛り上がりを見せた
SEMICON Indiaがインドで開催されたのに伴い、東京エレクトロンの河合社長は日本政府と協力し、グジャラートに研修センターを27年に設立することを発表した。また、新電元工業はパッケージラインでパワー半導体の技術協力を行ったことが評価され、SEMICON Indiaにおいてインド政府より表彰を受けたのである。
日本の半導体企業ではルネサスが後工程工場進出を決めているが、これに加えて富士電機、ローム、ミネベアミツミなどもインドに進出する計画を固めつつある。装置メーカーについても東京エレクトロンに加えて、SCREEN、アドバンテスト、ダイフクなどがインド進出を狙っている。インドと日本の半導体における結びつきはますます強くなっていると言えるのである。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 執行役会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。