電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第693回

半導体関連材料が最重要の時代に入ってきたのだ!


国内企業の世界シェアは50%、東京応化、三菱ケミカルなど投資活発

2026/10/23

 半導体デバイスの分野において、我が国は大きく遅れを取っており、国内企業の世界シェアは未だ8%にとどまっている。もっとも、先端プロセスを志向するファンドリー企業のラピダスが立ち上がれば、一気にシェアは増えるだろう。そしてまた、キオクシアのアクティブな5兆円の投資が実行されれば、さらにシェアは上がると見ている。

 ところが、半導体関連材料については、日本企業は無類の強さを発揮しており、世界シェア50%を持っている。2025年段階で世界のトップを行く国内の半導体材料メーカーは信越化学工業である。同社は重要材料であるシリコンウエハーの世界チャンピオンであり、フォトレジストにも強い。第2位の住友化学は、半導体プロセス材料や化合物半導体材料で多くの強みを持っている。そして第3位は、いまや最も注目されるレゾナックなのである。

 同社は、後工程に関連する材料はすべてフルラインアップしていることで世界に知られている。台湾を中心とする海外の半導体メーカーが日本に立地する際に、レゾナック1社で後工程材料が揃うということは大きな利点を持つ、と言われているのだ。先ごろ、レゾナックは次世代エレクトロニクス材料の300mm SiC単結晶基板の開発に成功した。これまでは、150mmおよび200mmのSiCエピウエハーを供給してきたが、300mmのSiC基板は世界最大級であり、この成功で同社の地位はさらに上がるだろう。

 ランキングの6位に位置しているのは、三菱ケミカルグループであり洗浄剤や感光性ポリマーを得意としている。こちらは、今期中にもパワー半導体向けの6インチGaN基板の出荷に踏み切るのだ。AIデータセンターやEVでは大量の電力を消費し、省エネルギー化が課題となっている。同社は、高効率で機器の小型化などに寄与するGaN基板の6インチや8インチ品の量産に向けて開発を進めている。SiCではなくGaNに注力しているわけであり、日本製鋼所の室蘭製作所内に同社と共同で設置したパイロットラインで量産の検討を行っているのだ。

 東京応化工業は、半導体向けフォトレジストの分野では世界トップシェアを持つと言われており、パッケージ材料にも良いものを持っている。同社は、230億円を投入し、福島県郡山工場にEUV・ArF用のフォトレジストの新製造棟を完成させた。この新製造棟は、フォトレジストの分野において世界最大級となるものであり、注目を集めている。

 住友ベークライトは、封止材やパッケージ基板材料の分野に強い。100億円を投じて、中国・蘇州とシンガポールの生産拠点に大型増強を実施するのである。この増強はAIデータセンターなどで使う最先端半導体を保護する樹脂製の封止材を量産することにある。

 現時点において、国内の半導体材料企業は世界トップシェアを保持しているが、こうした大型増強策により、さらなるシェア拡大で独走状態を築こうとしているのだ。


■泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 執行役会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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