韓国の免税業界が数年間にわたる不況のトンネルを抜け、本格的に回復しつつある。主要な免税店各社は2026年1~3月期、一斉に黒字基調へと転換したようで、これまでのように送客手数料を払う集客競争から脱却し、個人観光客(FIT)中心の戦略へと舵を切ったためであるという声がある。
ソウル市内のある有名免税店では特価割引70%という売り文句の中国語が目につく
新羅免税店(ソウル市中区)は、26年1~3月期の売上高は8846億ウォン、営業利益は122億ウォンを計上。売上高は前年同期比で7%増加し、営業利益は黒字に転換した。また、新世界DF(ソウル市中区)の同期間の売上高は5898億ウォン、営業利益は106億ウォンを記録し、赤字から脱却した。仁川国際空港DF2区域からの撤退と、費用の効率化作業が収益性改善につながったという分析だ。さらにロッテ免税店(ソウル市中区)の26年1~3月期の売上高は7922億ウォン、営業利益は323億ウォンを記録。前年同期比で売上高は24%、営業利益は111%伸びた。同社は25年1~3月期から5四半期連続で黒字を維持する中、売上高も2桁の成長を記録した。他方、現代免税店(ソウル市江南区)の26年1~3月期の売上高は前年同期比27.2%減の2137億ウォンにとどまったものの、営業利益は34億ウォンを記録して黒字へと転換した。
免税業界は新型コロナ禍以降、中国の団体観光客の回復が遅れたり、過度な送客手数料による集客競争、空港の賃料負担などにより、数年間におよぶ収益性の悪化に苦しんできた。これらの打開策としてロッテ免税店は、グローバル空港店を中心にポートフォリオの再編に乗り出している。最近では、34年まで契約が残っているオーストラリアのシドニー市内店の早期撤退の検討に入り、グアム空港店の撤退の可能性も取り沙汰されている。
韓国免税業界では、最近の業績回復の背景として、過去には送客手数料を上げて売上規模を拡大する方式が一般的だったが、最近ではFITを中心に集客し、顧客構造自体を変えていることがあるという。免税業界に詳しいソウル証券街のあるアナリストは「以前は売上規模そのものが競争力のように捉えられていたが、最近では『利益が出る商売』をする構造に変わってきている。無理な送客手数料競争を減らし、個別観光客やラグジュアリー消費中心へと戦略を転換したことが収益性改善につながっている」と説明する。また、このアナリストは「新型コロナ禍以降、免税業界全体が店舗の効率化や希望退職などを経て、固定費の負担を大幅に減らした。以前のように外形競争だけに集中するよりも、収益性を中心に事業構造を再構築する流れが明確である」と分析している。