電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第674回

世界半導体市場は初の150兆円突破というサプライズ!


設備投資も過去最大の28兆円に拡大、TSMCが世界の1/4

2026/5/29

 世界半導体市場は2025年に前年比26%増という高い伸びを示し、150兆円を上回るスケールとなった。もちろん、この牽引役はAI向け半導体であり、とりわけGPUとメモリーが伸びたのである。一方、半導体設備投資も過去最大の28兆円となり、台湾TSMCが巨大投資を断行している。

 半導体市場は過去5年間で1.9倍とほぼ倍増の勢いが続いており、ここにきては世界経済を大きく引っ張る存在となっている。「半導体を制する者は世界を制する」という風潮の中で、世界各国の半導体企業が凄まじい勢いで売上拡大に走っている。


 もちろんのことであるが、現在の半導体市場の大きな牽引役はAIである。GPUなどのAIアクセラレータ、HBMなどの高性能メモリーがすごい勢いで拡大している。今や半導体の世界ランキングでぶっちぎりの1位となっているエヌビディアは、25年に前年比で66%増を記録したのだ。HBM分野で首位に立ったSKハイニックスも同41%増を記録し、高い成長が続いている。

 AIブームはいずれ減速するとの一部の見方があるが、それは全く間違っていると言えよう。現在のAIは生成AIが中心であり、それもデータセンターのAIサーバーが大きな割合を占めている。やがては、スマホやパソコン、さらには自動車などにAIは搭載されていくわけであり、まだまだビッグマーケットへ向けての勢いは衰えない。そしてまた物理(フィジカル)AIに移行すれば、さらに多くのAIチップが必要になるからして、まあ少なく見積もっても10年間はAIの高度成長は続いていくだろう。

 半導体設備投資についても、25年の水準は28兆円というとんでもない高水準となった。これを反映して、エヌビディアの受託生産をほぼ一手に引き受ける台湾TSMCは凄まじい勢いで大型設備投資を断行している。日本勢にあっては、北海道のRapidusが巨大工場を立ち上げており、これまた投資水準を引き上げている。サムスン、SKハイニックスといったメモリーメーカーについても、史上空前の投資を実行しているのである。広島に量産拠点を持つマイクロンもまた、米国のボイジ本社に新工場を立ち上げている。

 ブランド別の半導体世界ランキングにおいてはエヌビディアがトップであるが、事実上の半導体企業の世界一はTSMCであり、同社は8兆円規模の巨大投資を続けている。これは世界の半導体の設備投資のおよそ1/4を占める規模であり、半導体製造装置メーカーや半導体材料メーカーにとってはTSMCの投資が実に重要なことになるのである。

 とまれこうまれ、半導体の驚異的な成長が世界の政治・経済を大きく動かす存在になってきたわけであり、「半導体主役の時代」が本格的に到来したのである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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