(株)日本医療企画と月刊『最新医療経営フェイズ・スリー』は、フェイズ・スリー創刊30周年記念フォーラム「地域医療大再編時代の幕開け!! 機能別病院経営の戦略と戦術」を、3月4日に大和ハウス工業(株)東京本社で開催した。今回は、(社医)慈生会理事長の伊藤雅史氏、(医)伯鳳会グループ理事長の古城資久氏、聖光会グループ理事長の西村直久氏の各講演と3人によるシンポジウム「地域医療再編に向けた改革と医療機関に求められる戦略」の様子を紹介する。
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◆東京都における地域医療の特殊性の考慮を
伊藤氏は、「地域と共に生きる 慈しみのトータルヘルスケア」を理念に掲げる慈生会の紹介に続き、東京における地域医療構想の課題として、(1)大学病院本院やナショナルセンターが都心部に数多く集中している。「高度急性期」ならびに「特定機能病院」の病床数は別対応が必要では。(2)交通機関の利便性が高く、患者移動が容易であるため、2次医療圏が必ずしも生活圏と一致しない。(3)「急性期」「回復期」は都下に多く、区部に少なく、地域差がある。(4)隣県からの流入、回復期・慢性期などで隣県への流出が相当数あることを挙げて、問題を提起した。
◆地域包括ケアの国の覚悟は本物、その第一段階
東京都の2014年の救急車出動件数は75万7609件(速報値)で、前年比8577件(1.1%)となり、事由は急病(64.8%)と一般負傷(17.2%)で計82%を占め、前年より増加した件数部分の90%以上は高齢者によるものである。
また、医業収支率100%未満(赤字)の民間病院は、2013年度が全体23%、東京都31%、指定都市22%、その他25%、2014年度が各25%、40%、20%、25%と、東京都が突出しており、この傾向は04年度から続いている。
14年度の診療報酬改定は、都医ニュース(2014年9月号「底流」)を引き合いに、(1)Structure評価(人員は配置されているかなど)からOutcome評価(在宅復帰率など)へ、(2)診療データの全件把握、(3)オール包括化への道筋、(4)屋上型施設基準の導入、(5)在宅復帰元年、地域包括ケアの意味があり、国の覚悟は本物、第一段階に過ぎない、「やりたい医療」から「地域で求められる医療」へと誘導を促進すると述べた。
(続きは本紙で)