医療産業情報
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内

平成博愛会 博愛記念病院 理事長 武久洋三氏(4)


「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」、慢性期病床の10の対応

2015/3/10

講演会場の風景
講演会場の風景
 (医)平成博愛会 博愛記念病院の理事長 武久洋三氏による、JPI(日本計画研究所)主催の特別セミナー「神奈川県『横浜記念病院』新設 平成医療福祉グループの首都圏進出など病院・施設建築計画と病院淘汰時代の生き残り戦略」の4回目のレポートは、講演4.「これからの医療提供体制」を中心に紹介する。

◇   ◇   ◇

◆高齢者救急の激増が3次救急を圧迫
 続いて、講演の4.これからの医療提供体制の「新たな地域医療計画が始まる」に移行した。まず、病床機能報告制度(平成26年度~)と地域医療構想(ビジョン)の策定(平成27年度~)の概略を解説した。そのなかで、4つの病床機能報告制度の違いとして、高度急性期病棟は急性期病棟へ、一般急性期と回復期の各病棟は地域包括期病棟へ、慢性期病棟は慢性期病棟のままという構成に変わり、このうち、地域包括ケア病棟の役割として、近隣の高度急性期病院から治療後の患者を引き受けるとともに、地域の軽中度の急変患者を受け入れて、ともに継続的治療やリハビリにより、早期に在宅復帰や社会復帰を行うと説明した。
 2025年には、日本人の死亡者数が2010年の1.5倍なら、2回入院して2回目に死亡したら入院患者は3倍となるが、「増加する入院患者のうち、従来の救急医療を受けられない救急患者が急増するだろう」と予測。このため、高齢者救急の激増が本来の3次救急の現場を直撃し、本当に高度な救急医療が必要な人たちが適切な救急医療を受けられないことになると危惧する。現に、都内の救急告示病院は、1998年の415施設から11年の325施設へと22%も減少。また、12年の救急搬送人員は前年比1万310人の増加があったが、このうち9987人を75歳以上が占めた。これについて、急性期→亜急性期→慢性期という、状態に応じた医療施設への移行の流れは正しいといえるか、また、初期救急→2次救急→3次救急というルールは正しいのかと疑問を提起する。

◆救急を高度救急と地域包括ケア病院の2種別に
 武久氏は、「救急病院の質の認定は、すでに救急車の救急救命士によって行われている」、「救急車はこれから高齢者の軽中度の救急患者を次第に地域包括ケア病棟に送ることが通常となるのにそんなに時間はかからない」、「救急隊はこれらの患者を受け入れてくれれば大変ありがたいと思っている」のが現状で、ここから、救急指定を高度救急指定(オールラウンド対応)と地域包括ケア病院(慢性期の高齢者の急変対応)の2種別にする時代になっていると、自身の考えを述べた。

(続きは本紙で)

サイト内検索