地方百貨店が苦しいというニュースを耳にするようになって久しい。筆者の故郷・埼玉県でも「そごう川口店」が2021年2月に閉店し、最近「三井ショッピングパーク ららテラス川口」に生まれ変わった。そごう時代は屋上のビアガーデンを利用したこともあったため、思い出のあるそごう川口店の閉店は少なからず残念な気もしたが、新しい施設に生まれ変わり末永く営業してほしい。
埼玉県地盤の百貨店といえば「ムーミンバレーパーク」でお馴染みの埼玉県飯能市で生まれ、現在は川越市に本店を構える「丸広百貨店」がある。直近では21年2月に「日高店」(埼玉県日高市)、22年8月に「坂戸店」(埼玉県坂戸市)、24年8月に「東松山店」(埼玉県東松山市)が相次いで閉店している。その跡地はというと、まず日高店は「生鮮市場TOP高麗川店」になった。生鮮市場TOPを展開する(株)マミーマートも埼玉県に本社を構える企業で、昨今勢いのあるスーパーマーケットの一つだ。次いで坂戸店は「コープ坂戸薬師町店」になった。周辺の小型店「ミニコープ」3店を移転・集約したもので、ドラッグストアやフィットネスジムなどのテナントも導入した。この2店はいずれもスーパーマーケットへの転換で、百貨店よりも生活に密着した業種へと生まれ変わった。なお、東松山店は解体工事が進められており、ここにはマンションが建つようだ。
川口駅前にオープンした三井ショッピングパーク ららテラス川口
また、『跡地』ではないものの既存店の「上尾店」(上尾市)は百貨店としての営業は終了し、今秋にショッピングセンターの「(仮称)まるひろ上尾SC」に業態変更するという。すでに今春からリニューアルが進められているが、百貨店機能の一部(和洋菓子・ギフトなど)は小型店の「まるひろmini」として6階に残る。
前述のそごう川口店は5月31日、ららテラス川口になった。JR川口駅前にあり、川口市の顔として1991年から約30年営業してきた百貨店だったが、長引く業績不振により2021年に幕を閉じた。その跡地は多くの注目を集め、このほど三井不動産(株)のライフスタイル型商業施設であるららテラスとしてオープンした。そごう川口店時代を知っている身からすると、建物の外観はさほど変わっていない印象を受けた。確かにららテラスらしいデザインを施しているものの、かつてのそごう川口店の雰囲気も感じ取ることができる。外壁には大型LEDビジョンが設置されるなど進化した部分もあるが、同施設は既存建物を活かしたデザインとしているようで、まさに川口のレガシーを継承した施設となっている。ほかにも大理石や大時計など、そごう川口店時代のものもしっかりと受け継いでいる。
思い出の屋上ビアガーデン「サッポロビール 川口ビール園」はというと、リゾートをコンセプトにしたビアガーデン「WILDBEACH」になった。加えて、JR東浦和駅前にあった「伊勢丹アイ・プラザ東浦和店」(さいたま市緑区)の跡地は「イオンタウン東浦和」の建設が進んでおり、26年春のオープンを目指している。