(株)丸亀製麺は、47都道府県で各地域の食文化や食材を活かした地域限定のうどん商品を提供する「わがまちうどん47」の企画を今年も開催している。手間暇かけた47種類のご当地うどんを、社内外の1000人以上が1年間をかけて開発したそうだ。記者発表会は東京・渋谷で行われたので、東京の「漬けまぐろ天と焼きねぎのねぎまうどん」がふるまわれた。同社は「江戸発祥のねぎまうどんに、醤油漬けのまぐろ天と焼きねぎの香ばしさを加えた。春菊・えのきの天ぷらは濃い目のだしと相性抜群」と説明し、江戸の食文化を感じる豊かな食感だった。各地の食材を駆使した47種類の料理が開発された中、笑えるような面白い開発はないかと広報担当者に尋ねたところ「岩手のミルクカルボナーラうどん、群馬の手仕込みカツの濃厚デミグラスソースぶっかけうどん、沖縄のタコライス風まぜうどんは面白系に該当する」との返事だった。いずれもワクワク感が溢れるご当地うどんである。ご賞味あれ。
(株)ルミネ(東京都渋谷区)は、アグリプロジェクト(都会と畑を結ぶことで食との出会い、学びの機会を作る農業プロジェクト)に取り組んでおり、「やまなしワイン×LUMINE AGRI MARCHE 2025」を、JR新宿駅ミライナタワー改札外(ニュウマン新宿2階エントランス前)・Suicaのペンギン広場で10月31日~11月4日に開いた。ルミネによるワインイベントで過去最大の200銘柄以上のワインを揃え、11月3日の“山梨ヌーボー”解禁時には、新酒の「甲州、マスカット・ベーリーA」に加え、山梨県を中心にしたワイナリーの人気ワインを楽しむことができた。岩崎醸造(株)の白石壮真社長も訪れ、日本ワインコンクール金賞受賞の「甲州かもし 常磐に燃る」について、「勝沼町上岩崎大切の自社畑・甲州を使用し、ほどよい酸味を保ったぶどうをマウスフィール重視で仕上げた」と説明した。試飲すると「バラや柑橘、オレンジピールの香りに、茶葉の清涼感とジンジャーの余韻を楽しめる」と同氏が語ったとおりの重層的な味わいだった。秋の食欲を刺激する逸品で、「ほうとう」とのペアリングをお薦めしたい。
日東紅茶ブランドを展開する三井農林(株)(東京都港区)は、秋冬の新商品として「ミルクとけだすティーバッグ黒糖烏龍」と「ロイヤルミルクティー黒糖」ほか6商品を市場投入。黒糖は沖縄県産で香ばしい贅沢な味わい、また烏龍茶やミルクの味わいが重なり、飲むと楽しさを味わえた。「カフェのような味わい、おいしい紅茶で一息つける」を商品概念とし、販路は食品スーパーやコンビニ、百貨店など小売店をほぼすべて網羅。ほかにも「はちみつチャイティーバッグ」「乳酸菌入り甘酒」を開発して市場投入しており、紅茶の域を超えた商品開発に感服した。担当者によると、「現在第3次紅茶ブームが到来していると言われ、若者および女性を中心に広がっている。カフェ系チェーン企業も紅茶専門店を展開し、コンビニ大手は専用機械で本格紅茶のカウンターティーを提供している。このほかに、小売店もフレーバー人気の高まりや、水筒用コールドブリューバッグの販売で、紅茶流行を形成している」という。紅茶の第1次ブーム(昭和の高度経済成長期)は特別な贈答品として流行、第2次ブーム(平成のバブル経済初期)はペットボトルによる『午後の紅茶』が市場を牽引し、時代とともに流行の背景、質が異なっている。三井農林は、業務用にも紅茶を供給しているので、贅沢な味わいの黒糖紅茶をカフェでも味わいたいものだ。
秋の新たなうどん・ワイン・紅茶の市場投入は、いずれも日本の食の豊かさを感じる。商品開発者の熱意も伝わってくる。消費への刺激と商業施設の集客力へのつながりに期待したい。