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No.1031

『木浦の涙』の歌詞に魅せられて


嚴 在漢

2025/11/11

旧日本総領事館の跡(写真奥側)と国道第1号線始発点の石碑(写真右側)
旧日本総領事館の跡(写真奥側)と国道第1号線始発点の石碑(写真右側)
 韓国南端に位置する全羅南道西南部の木浦(モッポ)は、海に沈む夕陽が眺められる美しい港町だ。ここは近海で採れる魚の刺身や海鮮鍋など海鮮料理が美味しく、海を楽しむ旅行が満喫できることでも有名だ。日本の統治時代には、木浦に多くの日本人が居住し、コメの輸出港として栄えた。当時建てられた日本式の家屋が今も残っているので、日本からの観光客には日本家屋巡りが人気だ。特に、1897年に日本人が建てた赤レンガの「旧日本総領事館」は、いまは歴史博物館として利用されている。また、その正面の大通りは韓国国道第1号線(木浦~北朝鮮の新義州)のスタート地点でもある。

 この由緒ある木浦において今年10月1~26日の間、韓国国内初の美食をテーマにした国際イベント「南道国際美食産業博覧会」が開かれ、人気を集めた。イベントでは全羅南道所在の22の市町村(市郡区)による代表的な店が参画する「南道美食ロード」をはじめ、海外の有名シェフらが南道の食材を活用・料理する「ワールド美食パーティー」、そしてスターシェフによるポップアップ・レストラン「グロバール美食レストラン」や、「南道美食とワインペアリング」など、様々な美食イベントが博覧会を盛り上げた。

 さらに、10月17~19日には木浦の都心一帯において、「旧都心のコリアンスタイル博覧会:木浦1935と木浦文化遺産巡り」が開かれた。昼間には美食と芸術、夜間には歴史とロマンチックな特別フェスティバルが行われた。今回の博覧会は、南道国際美食産業博覧会と木浦市の連携プログラムで、近代文化遺産がある旧都心を中心に、美食や公演、展示、夜間ツアーなどが行われた。

 韓国最高の海上パノラマを演出する木浦海上ロープウェイは、木浦旅行の醍醐味だ。ロープウェイから見下ろす木浦大橋と多島海の風景は、忘れられない思い出を作ってくれ、心に癒しを与えてくれる。3kmの散策路がある三鶴島(サムハクド)公園をゆったりと歩きながら、都心で自然が楽しめることから、団体旅行でも人気が高いのが、木浦なのだ。

 日本統治時代の朝鮮において大ヒットした『木浦の涙』という韓国演歌は、「船頭の船歌が流れながら……」という歌い出しで哀切なメロディーが心に沁みる。1935年に当時19歳の女性歌手・李蘭影(イ・ナニョン)氏が発表して以来、いまも木浦を物語る流行り歌として広く愛されている。
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