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平成博愛会 博愛記念病院 理事長 武久洋三氏(3)


4形態の食事から濃厚流動食まですべて手作り、「食事は口から食べるのがいちばん」

2015/3/3

質問に応答する武久洋三氏
質問に応答する武久洋三氏
 (医)平成博愛会 博愛記念病院の理事長 武久洋三氏による、JPI(日本計画研究所)主催の特別セミナー「神奈川県『横浜記念病院』新設 平成医療福祉グループの首都圏進出など病院・施設建築計画と病院淘汰時代の生き残り戦略」の3回目のレポートは、講演3.「『患者本位』のサービス提供(ソフト面の工夫)」を中心に紹介する。

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◆急性期病院の問題点
 武久氏は、講演の3.「患者本位」のサービス提供(ソフト面の工夫)において、医療はサービス産業、電子カルテの導入(IT化は必要)、手作り食事提供へのこだわり、多職種によるチーム医療の実践、リハビリテーションの充実を挙げた。
 まず、病院の役割として、「患者さんが入院したらできるだけ早く適切に治療して地域へ帰す」ことを再確認。「急性期医療は、正確な診断力、正確な技術力、急性期医療力」と定義したうえで、急性期病院における問題点として、急性期病院は「臓器別専門医」による専門分野の治療が中心(専門の臓器以外の臓器への影響をあまり考慮しない)、大量の薬剤の投与、身体環境の悪化を進行させる「医原性身体環境破壊」(その治療によりかえって高齢者がすでに抱えている主病名以外の身体環境を悪化させること)を指摘した。
 そのほかの問題点としては、過度の安静重視、バルーン装着、安易な絶食指示、急性期リハの欠如、点滴などによる長期臥床、付き添いの強要を挙げた。
 平成医療福祉グループが2005年4月に実施した調査結果では、慢性期病院の入院時における低栄養患者と持込褥瘡保有者の入院前の居場所は、それぞれ病院(急性期)が55%、61%を占めており、次いで自宅27%、21%、特養・老健15%、14%、病院(療養病床)3%、4%となっている。高齢者に多い身体環境異常の6項目では、10年1月から14年3月にかけて、急性期病院から博愛記念病院を含む計16の慢性期病院に紹介入院した患者2万68人の入院時検査によると、脱水39.84%、電解質異常(基準値未満29.45%、基準値以上3.97%)、低栄養44.23%、低コレステロール10.65%、高血糖23.66%、貧血23.61%とかなりの割合を占めていることを示した。さらに、紹介元の急性期病院の紹介状を見てみると、病名に脱水や低栄養状態であることを示していた病院は7%で、血液検査結果が異常値であると注意を促していた病院はわずか1%という結果であった。

(続きは本紙で)

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