商業施設新聞
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No.992

始まる“大阪新時代”


岡田光

2025/2/4

 2025年がスタートした。今年も大阪では「グラングリーン大阪 南館」や「うめきたグリーンプレイス」など、特徴ある商業施設が開業する予定であるが、何と言っても注目は、4月13日から開幕する「2025大阪・関西万博」だろう。先日、大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」が開業を迎えるなど、準備は着実に進んでおり、開幕が待ち遠しい限りだ。果たしてどれだけの人が会場を訪れ、感動の渦に巻き込まれるのか、楽しみでしょうがない。

3月にグランドオープンする「グラングリーン大阪」
3月にグランドオープンする「グラングリーン大阪」
 2023年、紙面の連載取材でJR西日本SC開発の舟本氏にインタビューした時、JR大阪駅周辺の分岐点は3つあると聞いた。1つ目は11~13年。11年春に「大丸梅田店」が増床し、「JR大阪三越伊勢丹」と「ルクア」が開業、12年に「阪急うめだ本店」が増床開業、13年に「グランフロント大阪」がオープンしたことで、店舗面積は一気に十数万m²増えた。その結果、競争過剰となり、JR大阪三越伊勢丹は撤退を余儀なくされた。2つ目の分岐点は15年の「ルクアイーレ」の誕生。ルクアは開業時から20代後半に向けてファッションに特化していたが、JR大阪三越伊勢丹跡に誕生したルクアイーレは、そのルクアを卒業した30~40代をメーンターゲットに設定することで、お互いを補完し合い、ルクア×ルクアイーレ=ルクア大阪という新たな商業施設を作り出した。そして、24年から始まった3つ目の分岐点では、日本各地の物産店を集積した「KITTE大阪」や、梅田で働くおっさんの酒場「バルチカ03」の開業に加え、中央に公園を設けた「グラングリーン大阪」も先行開業するなど、特徴ある新規施設が相次いで開業した。他の既存施設と明確に違いを打ち出すことで、立地エリアでの存在感を高め、新たなランドマークとなれるように日々切磋琢磨している。

 こうした明るいニュースが増える一方で、長年愛されてきた施設がその役目を終えて閉店する。今のところ閉店が決まったのは「高島屋堺店」と「心斎橋オーパ」の2店。高島屋堺店は入居する駅ビル「南海堺東ビル」を南海電気鉄道が改装を行い、新たなショッピングセンター「HiViE堺東」としてリニューアルオープンする計画だ。心斎橋オーパは活用方法が決まっていないが、心斎橋エリア、それも御堂筋沿いに立地するビルのため、このまま放置される可能性は低い。今後の活用策が注目される。

 ただ、この2施設は駅直結やメーンストリート沿いという好立地のため、活用策が検討される可能性が高いが、郊外などの駅から遠く離れた立地では、すぐに活用策を見い出すのは難しい。ところが、大阪ではこうした郊外に立地する商業施設が結構多い。車社会の名残でもあるが、堺市から南に広がる南大阪は特にこの傾向が強い。御堂筋線やJR線、南海線など路線網も充実しているが、それ以上に道路網の充実が著しく、特に高槻市から泉佐野市を結ぶ国道170号線沿いや、三重県熊野市から大阪市平野区までを結ぶ国道309号線沿いには、飲食店はもちろんのこと、大型ホームセンターやショッピングセンターなどが密集している。これらの店舗や商業施設は、3つ目の分岐点となる24~27年をいかにして乗り切るのか。まだおぼろげな企画案だが、2025大阪・関西万博の開幕までには1つの企画としてまとめたいと考えている。
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