先日、東北大学が星稜キャンパスにて医学イノベーション拠点「SiRIUS」を設立すると発表した。研究志向の若手臨床医研究者を集め、研究に注力できる環境を提供し、独立した環境で質の高い研究推進を行うという拠点で、海外を含めた外部からの人材を広く募集するという取り組みだ。
こうした先進的な取り組みを地方拠点でもある東北大学で行う背景として、同大学では最先端のバイオ研究関連設備や機器など設備が充実しているということも挙げられるが、病床1160床、80万人の臨床データを持つ大学病院があり、臨床も行う研究環境としては非常に優れていることがあるとしている。
近年は少子高齢化が問題となり、地方の医療については様々な点で持続可能性が問題となっている。一方でこうした取り組みのように、日本には国際的にみても地方に先進的な医療拠点があり、様々な人々がそれにアクセスできる強みがある。こうした基盤があるからこそ、地方であっても海外からも研究者を招聘するような事業ができるのだろう。
またSiRIUSでは、招聘した人材のその後のキャリアとして、研究者としての道だけではなく、スタートアップ企業の設立などの民間事業の企業も想定しているという。ベンチャーキャピタルによる積極的な投資が活用できる仕組みも整備するとしており、医療への注力が地域の活性化にもつながりうる仕組みになっている。
地方と医療という点では、近年行われている街づくりや再開発においても、病院の整備や誘致を行ったり、クリニックモールの機能を導入したりと様々な取り組みがなされている。人々の生活基盤を整備する際に、医療を重視し環境を整えていくということが、臨床データの蓄積につながり、ひいては今回のSiRIUSのような先進的な取り組みにつながっていくかもしれない。