(株)フォレストモール(東京都新宿区)は、地域密着型ショッピングセンター(NSC)「フォレストモール」など、18施設を運営している。中長期的には2030年に30施設超・売上高65億円超を目指して年2施設の開発など積極的な事業展開を行うとともに、地域に根差したNSCの役割を担っていく。同社代表取締役社長の今西弘康氏に聞いた。
―― 施設の紹介から。
今西 フォレストモールは、郊外立地の敷地7000~8000坪で平屋建て、店舗面積2200坪前後、テナント数20店弱を標準モデルとするNSCだ。800~1000坪のスーパーマーケット(SM)を核店舗、300坪前後のドラッグストア(DgS)、100円ショップなどを準核店舗に各種専門店やクリニックなどのサービス系テナントを揃え、現在(12月10日時点)18施設(ヴェルモ志木含む)を展開している。展開エリアは関東を中心とし、19年から関西にも進出した。
―― 施設の特徴や強みは。
今西 核店舗のSMは、出店エリアの地元で力のある店舗を誘致し、これが集客にしっかりと貢献しているところだ。また、生活に密着したNSCとして医療系を積極的に導入してクリニックモールを形成しており、クリニックモールは現在18施設中14~15施設に展開している。
―― 足元の状況は。
今西 直近の24年3月期は売上高35億円弱で、計画どおりに着地した。コロナ禍も業績は堅調に推移し、コロナ明けも順調だ。今期(25年3月期)は11月に1施設が開業したことで、売り上げは前期より微増すると見込んでいる。
―― 好調な施設は。
今西 規模やテナント数によって多少異なるが、郊外エリアの施設よりも、都市部に近い市街地エリアにある「フォレストモール八王子大和田」(東京都八王子市)や「ヴェルモ志木」(埼玉県志木市)などは特に好調だ。やはり商圏人口がそれなりにあり、毎日でも利用してもらえるところは堅実である。
―― 直近で「川崎黒川」が開業しました。
今西 物販2店、クリニック3科(内科、眼科、歯科)の計5テナントで、敷地が2000坪を下回るなど当社の最小サイズとして、11月29日にオープンした。核店舗にSMの「ロピア」、準核店舗にDgSの「サンドラッグ」を展開し、クリニックは「くろかわ内科クリニック」(開院予定=25年1月5日)、「黒川@歯科」(25年1月6日)、「くろかわアイクリニック」(25年春)を導入する。
核店舗のロピアには初めて出店いただいたほか、施設自体も駅前立地、小型、クローズドモールといった初の試みが多いチャレンジの施設となった。同施設がうまくいけば、新タイプの商業施設として今後の開発にも良い影響を与えるため期待している。
―― 今後の開発は。
今西 昨今の建設コスト・人件費の増加などにより開発基準を見直し、出店のターゲットエリアも従来の郊外エリアから、競争力のある市街地エリアにシフトさせ、目標も年間2施設に変更した。建設スケジュールや契約の進捗などで多少のばらつきはあるが、着実に開発を進める。
―― 強化したい地域は。
今西 当社は全国を出店対象としているため、既存の関東、関西に加え、まだ施設がない中部エリアにも進出し、この3都市圏を中心に開発を進めていきたい。さらに細かく言えば、この3都市圏の郊外部と都市部の中間あたりを重点エリアとして開発を行っていく。
―― 来春には茨城県取手市に新施設を予定しています。
今西 敷地は5000坪弱、建物は平屋建てで延べ約1500坪とし、標準モデルよりややコンパクトなNSCとなる。店舗は10店弱で、構成はSM+DgS+クリニックなどといった、当社のスタンダードなものを想定している。
―― 施設のリニューアルなどは。
今西 テナントの入れ替えについては、基本的に長いお付き合いを考えているので、核・準核店舗以外の小区画店舗は契約満了に合わせて、必要があれば適宜行っている。一方、核・準核店舗は競争力のある店舗を導入しているので、まだ退店に至ったことはない。
また、NSCに出店するテナントや業態が時代の変化に伴い変わってきている。こうした変化を敏感にキャッチしながらニーズのあるテナントを揃えていく。今ならSPA型テナントなどは勢いがあると思っていて、それが当社のNSCに合う形で出店いただけるのであれば、積極的に誘致したい。勢いのあるテナントに出店してもらうことで集客や施設の活性化につながる。
―― 今後の抱負を。
今西 前述のとおり、年間2施設の開発を目指しながら、中長期的には30年に30施設超・売上高65億円超を達成したい。既存エリアでドミナント展開を進めつつ、スポットで未出店エリアにも進出し、全国にフォレストモールを広げていきたい。
(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2575号(2024年12月10日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.456