商業施設新聞
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No.972

ヤマトサカナの新たな挑戦


若山智令

2024/9/10

 最近取材に行ったなかで、面白かった店舗を紹介したい。それは8月8日、ヤマトサカナ(株)が千葉県野田市に新業態として出店した「ヤマトサカナ野田店」だ。同店は魚食堂と鮮魚販売店が融合した、魚好きにはたまらない店となっている。

 ヤマトサカナ(旧(株)ヤマト)は、2023年9月に(株)テンポスホールディングスの子会社になり、24年4月に商号変更して現在の社名になった。商業施設新聞では23年11月に代表取締役の清水一成氏にインタビューを行っており、同社の強みや今後の事業展開などを熱く語っていただいたこともあり、個人的に注目している企業の一つだ。

 同社は、魚介類を漁港から直接仕入れられる買参権を保有しており、これを活用して外食、卸売り、観光、小売りなど幅広い事業を行っている。事業別の売上構成は外食が最も高く、卸売り、観光、小売りは同水準で並んでいるという。その中で外食は回転寿司を中心に展開しているが今回、回転寿司ではなく魚の定食をメーンにした食堂(外食)と鮮魚販売店(小売り)を融合した新業態をオープンした。

ヤマトサカナ野田店
ヤマトサカナ野田店
 ヤマトサカナ野田店の所在地は野田市花井263-4で、東武アーバンパークラインの野田市駅から徒歩約15分。野田市駅前には醤油メーカーの工場が立ち並んでおり、その工場エリアを抜けたロードサイド沿いに店舗がある。店舗面積は約120坪を展開し、食堂と鮮魚売り場は同じくらいの面積としている。出店にあたっては、初めからこの新業態を計画していたわけではないそうだ。今回のような複合店の新業態構想は以前からあったものの、実現はまだ先と見ていて、既存の回転寿司店を想定して物件を探していたところ、広めの物件が見つかったため、新業態に挑戦するチャンスと捉えて出店に至った。

 鮮魚店エリアは昔ながらの鮮魚店の雰囲気を再現し、千葉・南房総の新鮮な鮮魚と魚介類などを販売。旬の魚や、目利きが吟味した同社こだわりのまぐろを柵や刺身で提供する。店内に入ってすぐの場所には大きな水槽を設置し、水槽で泳ぐ魚が利用客を出迎える。また、スタッフに声を掛ければその場で鮮魚を取ってくれ、さざえ、あわび、車エビ、ミル貝、ほたて、ホッキ貝、つぶ貝、金目鯛などは鮮魚店で購入後、食堂ですぐに食べられるよう刺身や焼き物、煮物などに厨房で調理(調理代金は1尾・1個200円など)することも可能だ。

 食堂には68席を設け、魚料理の定食をメーンとする。メニューは同社が特にこだわる天然まぐろを使用した「特上まぐろ三色丼」(2580円、価格はすべて税込み)や、ぶ厚く大きい焼き魚の切り身が3種類のった「ミックス焼魚定食」(1480円)、おすすめの「魚屋の煮魚定食」(同)などの定食から新鮮な刺身、豊富な一品料理まで幅広く提供する。価格帯は決して安いわけではないが、同社自慢の魚定食・丼をぜひとも味わってほしい。
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