先日、とあるお店でつけ麺を食べた。ラーメン初心者である筆者が店内をきょろきょろと見渡していると、インバウンドが多く来店していることに気が付いた。券売機もデジタル化されており、現金だけでなくクレジット決済もでき、さらには多言語対応もしているなど、インバウンドへの対応はバッチリの店舗だった。
食事をしているインバウンドたちを見てみると、多くの人がラーメンとビールを頼んでいたのに驚いた。あまりラーメン店に行かないので詳しくはないが、店内を見渡すと日本人の利用者の大半は麺類のみを注文している。海外の食文化的に、麺類とアルコールを合わせるのがセオリーなのだろうか。
席に案内されてつけ麺が出てくるのを待っていると、隣に座っていたインバウンドがビールを飲みながらラーメンを食べ始めた。海外の人は、麺をすすらない(あるいはすすれない)とよく言うが、確かにすすらずに食べている。筆者にもつけ麺が提供され、何も気にせずにすすって食べていると、こちらをチラリと見たインバウンドが徐々にラーメンをすすって食べるようになっていた。特に会話を交わしたわけではないが、ほんの少しの異文化交流をしたような、なんとも言えない不思議な達成感に満ちた食事となった。
食事を終えた後に気になったことが一つ。インバウンドは果たして、どのようにしてこのお店を見つけたのだろうか。やはり海外に向けた旅行ガイドブックに掲載されているのだろうか。はたまたネットで探して来店しているのだろうか。日本にも数多の飲食店があるが、すべての店舗が多言語対応をしているわけではない。様々な国の人が来店することを想定して、使用する食材などを選んでいる店舗もきっと多いわけではないだろう。その場にいた人にどうやって知ったのかを聞くわけにもいかないので、謎が深まったばかりであるが、きっとガイドブックなどに載っているのだと筆者は予想した。
以前、とある商業施設を取材した際に、外務省がインターネットなどを用いてインバウンドに向けて情報発信を行っていることを教わった。「Web Japan」というページでは、日本の最新トレンドを英語で解説したりしており、例えば「Ramen-The noodles everyone loves」の動画ではラーメンの歴史から説明してくれる。こういった情報発信を見て日本に訪れる人もきっといるのだろう。
インバウンドが右肩上がりで回復している今、渋谷や新宿のような東京都内のまちを歩いていると、本当にたくさんのインバウンドを目にする。日本に訪れた人たちが、存分に日本を楽しんで帰国できるよう、陰ながら今日も見守っている。