（株）FPパートナー（東京都文京区）は、コンセプトショップ「マネードクタープレミア」の出店を拡大しており、お金に関する悩みや相談の解決に向けた事業を展開している。出店戦略や事業方針などについて、同社執行役員店舗事業部長の熊谷周一郎氏に聞いた。

―― 店舗展開について。
　熊谷　当社は元々、訪問型の保険代理店として事業を行っていたが、2018年4月に来店型ショップ1号店「保険のビュッフェ吉祥寺店」を開業し、店舗展開をスタートした。

―― 翌年に屋号を「マネードクター」に変更した。
　熊谷　保険商品を取り扱う中で、保険にできることと、そうでないことが見えてきた。当社の経営理念である「お客様の人生をお守りする」ために、保険だけではなく、お客様が抱えるお金に関するあらゆる課題、悩みの解決を目指して、19年にブランドを「マネードクター」に変更した。
　21年11月にはさらにコンセプトを持たせた「マネードクタープレミア」（以下プレミア）の店舗展開も開始した。今後の出店は基本的に、プレミアブランドで行う考えだ。

―― プレミアの強みは。
　熊谷　大切なお金のことやライフプランのことを、お客様がリラックスしながら相談できることに配慮した空間づくりだ。当社は20～30代の子育て世代を中心にマーケットを拡大してきたが、プレミアの店舗展開を行うにあたってブランディングを再構築し、より幅広いお客様にも来てもらえるよう顧客層の拡大を目指した。このようなターゲットを想定したときに、従来の来店型ショップのような雰囲気ではなく、高級感や上質感があり、個室を備えるなど落ち着く環境を持たせることで差別化を図っている。

―― 積極的な出店戦略です。
　熊谷　店舗展開は、当社の事業をより多くの人に知ってもらう、認知度を高めるという考えのもと、積極的に取り組んでいる。まずは札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の大都市圏で出店を計画。第1目標として24年11月期に30店体制を目指しており、23年9月時点で14店体制となった。
　現在、CM効果や様々なブランディングが奏功し、デベロッパーからの出店要請も増えてきた。投資信託や債券などの取扱いを開始した事で、既存の保険ショップとは一線を画すサービスをお客様へ提供できるようになり、興味を持っていただけるようになってきた。こうした新たなサービスが、商業施設の活性化にもつながっていければと思っている。
　直近では10月20日にイオンモールが東京・自由が丘に開業した「JIYUGAOKA de aone」へ出店した。イオンモールとしても初めて取り組む新しい形の商業施設であり、そのテナントの一つに選んでもらえたことで、今後業界内でも当社を見る目が変わってくると思う。

―― 出店ロケーションについて。
　熊谷　プレミアを多くの人に見ていただき、体験してもらいたいという考えで今後、例えば駅ビルや郊外型ショッピングセンターへの出店なども十分考えられる。出店は「こうでなければならない」ということはなく、「一人でも多くの人に我々のサービスを届けるにはどこが最適か」を中心に考えていく。そうすればおのずと出店候補地は決まってくると思う。

―― 新しい取り組みは。
　熊谷　現在、店舗サイズは大体20～40坪で展開しているが、20坪以下の小型モデルに挑戦してみたい。それを踏まえ、今後は15～30坪を目安に出店を行っていきたいと思っている。
　実際、これまで20坪以下の場合は出店を見送っていた経緯があるが、既存店の運営を通し、ノウハウも蓄積できてきたので、質を落とさず、コンセプトを崩さずに15坪程度でもやれるという自信がある。これが実現できれば、出店の間口も広がるし、出店要請にもこれまで以上に応えられるだろう。

―― スタッフの採用について考えや方針を教えてください。
　熊谷　採用はより積極的に行っていきたい。プライム市場に上場したことや、店舗数が増加したことでプレミアの認知度が高まり、求人を出した際の反応も良い。また、お客様のありとあらゆる要望に応えるファイナンシャルプランナーを揃えることは一朝一夕にはできないが、そこが当社の強みでもあるため、個々のお客様に適したアドバイスや解決策をご提示できる優秀な人材の獲得、育成も継続する。幅広い見識とパートナーシップをしっかりと持ち、チームでお客様をお守りしていく。これが今後のあるべき形の一つではないかと思う。