(株)なちゅらフーズ(大阪市生野区)は、2020年のコロナ禍を契機に飲食店事業へ本格参入し、商業施設内などで36店を展開している。近年では立ち飲み業態も展開し、年間10~15店ペースで店舗数を拡大していく方針で、36年に売上高100億円を目指している。今後の取り組みなどを同社代表取締役の中村元樹氏に聞いた。
―― 貴社の概要から伺います。
中村 当社は2015年に大阪市内で創業し、キッチンカーによる飲食事業からスタートした。その後は学校食堂の運営や全国で開催される大小様々なイベント会場での屋台の出店などを行い、事業を拡大していった。しかし、20年のコロナ禍の影響で多くのイベントが中止になって会社の収支が成り立たなくなり、事業の大幅な見直しに迫られた。そこで新たな事業として、商業施設内での催事での出店事業を開始。取り組んでいく中で、コロナ禍による外出規制の影響で商業施設内への飲食店出店の条件が緩和されていることを知り、事業として成立するのではないかと思い、飲食店事業を推進することにした。7月末時点で関西エリア中心に15ブランド/36店を展開している。
―― どのようなブランドを展開しているのですか。
中村 「イオンモール」や「セブンパーク」などの商業施設向けでは、親子丼や唐揚げなどのような鶏料理を提供する「九州鳥若丸」を約10店、洋食店の「レトロ軒」を4店、焼肉とステーキの専門店「神戸牛衛門」を3店など、22店を出店してきた。商業施設向けの業態については、うどんやラーメンなどの競合するブランドは避け、隙間を意識して開発や提案をできるようにしている。
路面店は様々な業態にチャレンジできるので、今はインバウンド向けの飲食店の開発に注力している。具体的には神戸牛を使用したカルビ丼や牛丼を提供するブランドや、海鮮丼を提供するブランドで、大阪市の黒門市場や京都市の錦市場など、国内外の観光客が訪れる立地に出店している。
―― 最近では立ち飲み業態の開発にも注力していますね。
中村 立ち飲み業態は店舗面積が小さくても出店でき、都心部で店舗を拡大できるのが魅力だ。5月時点で、京都市に「魚ト天クシ酒場スタンドドスエ」と大阪市に「スタンドわけわけ」を開業している。約10坪から出店可能だが、坪単価は50万円を想定している業態なので、約30~40坪が理想的な新規出店の基準となる。今後、人材が育てば年間3~5店ペースで新規出店する方針で、出店エリアは大阪市の千日前や心斎橋を中心に拡大していく。店舗名についてはチェーン店化すると客離れのリスクもあるので、1店ごとに店名を変えて展開していく。さらに、事業が軌道に乗り、集客が見込めそうであれば、空中階や路地裏の立地での出店にもチャレンジしたい。
―― 人材確保にはどう対処しますか。
中村 当社はかつて経営計画や出店数ありきで店舗数を拡大し、痛い目にあった経験もあるので、人材確保は大きな課題だ。これまでは優秀な人材を採用でき店舗数を拡大できたが、これからは属人化しないように人材育成プログラムを構築しなければならないと考えている。今後は「なちゅら大学」と呼ばれるような研修プログラムを作成し、安定的な人材確保に取り組んでいく方針だ。
―― 今後の出店計画について。
中村 商業施設での新規出店のオファーは多数あるが、急速な店舗数拡大で失敗した部分もあったため、エリアや賃料などで条件が合う立地に絞って拡大していこうと考えており、フードコートを対象に年間1~2店ペースで展開していく。エリアは関西が中心だが、仙台市や名古屋市、広島市での新規出店のオファーもあり、これらのエリアも視野に入れながら、検討を進めていく。商業施設向けは、数年内に店舗数が30店を達成する見通しだ。
企業全体は、36年に売上高100億円という目標がある。飲食の店舗数は路面店のブランドも含め、年間10~15店ペースで拡大し、店舗数は200店以上を目指す。また、当社の関連会社に食材などの仕入れを行う(株)産直センターがあるので、将来的にはお茶や箸などを販売し、着物の着付け体験ができるようなインバウンド向けの物販店の展開も検討している。36年に売上高100億円という数値目標に固執はしないが、様々な事業へ多角的にチャレンジすることで、目標達成に努めていきたい。
(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2660号(2026年8月25日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー