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ドコモ・ヘルスケア(株) 代表取締役社長 竹林一氏(2)


健康プラットフォーム『WM(わたしムーヴ)』が100万件、『ムーヴバンド2』発売

2014/8/19

竹林一氏
竹林一氏
 (株)産業タイムズ社の『半導体産業新聞』では、日本電子回路工業会主催の「JPCA Show 2014」(6月4~6日、東京ビッグサイト)で、講演と企業展示で構成するイベント「次世代アプリ開発支援技術展~夢をカタチに~」を併催。その中でドコモ・ヘルスケア(株)代表取締役社長の竹林一氏が行った講演「『モバイルヘルスが創る未来』~からだと社会を繋ぐ」をレポートする連載2回目となる今回は、健康のビジネスモデルや、6月2日に100万契約となった健康プラットフォーム「WM(わたしムーヴ)」などについて紹介する。

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◆リスク回避の医療と「ハッピネス」には支出
 竹林氏は、「皆さん、自分で商売されるとき、『健康ていけるやろ』と思いますけど、じゃ、自分で健康に金払いますかという話ですね」と問いかけた。「『健康』、『医療』というのを分解してみて、わかってきたのが、W(ウエルネス)が健康、未病の状態。病気になってしまったら、メディカルのM。オムロンは、血圧計の世界トップシェアですが、WとMの真ん中に血圧計を置く。高血圧になって先生(医師)に怒られる、肥満になって先生に怒られるとメディカル。その前はウエルネスの世界。ウエルネスの世界とメディカルの世界というのは、ビジネスモデルも実は、エンドユーザーのニーズも違う。これごっちゃにしてしまうと、ビジネスが立ち上がらない」と分析する。
 「病気となってリスクが生じ、表現が悪いですが、『このままいったらやばい』となったら、ここには金を払う。ヘルスケアでは、なかなかお金払わないですね。ウエルネスのところもお金払わない。ところが、もう1つ、お金出るのが『ハッピネス』。健康をより楽しむていう、ここ、金払いますね。象徴的なんが、ジョギング、マラソンですね。ものすごいお金払って、いろんなものつけて、『ハッピネス』のところです」と指摘する。
 重ねて、「製造業で、『U字カーブ』ってありますよね。パーツのところとサービスのところが儲かる。これも一緒なんです。今儲かるところは、『ハッピネス』か『リスク』、真ん中のところは皆さんお金なかなか払わないですね。『ハッピネス』のところ、例えば、女性であれば、ヘルスケアビューティというキーワード、『より中から健康になって美しくなろう』、あれ『ハッピネス』のところです。健康って、美、『上だけ化粧塗っといたらええわ』じゃなくて、体の中から健康になる、そのための仕組みだったらお金が出てくる」と本質を説く。

◆「ハッピネス」につながれば売れる
 「もう一度、WとM。Wはウーマンでもあります。女性ってリズムがあって、自分の体調管理が重要。お子さんがおられて、家族がいて、守らなあかんので、未病のところって非常に興味があって、場合によっては市場が早く立ち上がってきます。Mはマンでもあります。メディカルのMはマン、皆さん(男性聴講者)ですね。『病気にならんと健康のこと考えない』って。じゃないですか?例えば、800円で(ヘルスケアチェック)のいいサービスあります。『今日からどうですか』と、男性を勧誘しても入られないと思う。でも、今日、呑みに行った帰りに、ラーメンを800円で食べはる。その上にまだ、『チャーシュー乗せる』ゆうてね、そこにはお金払うんです。健康じゃないところに。(一見、お金を払おうとしないサービスであっても)それをいかに『ハッピネス』に見せるか、がこれから重要になってくると思います。オムロンには、『ねむり時間計』というのがあったんですね。眠りの状態がわかって、一番いいタイミングで起こしてくれる。これ、眠れない人に量販店で売っても売れなかった。ところが、化粧品メーカーとタイアップして、『ぐっすり寝ると化粧のノリがいい』と、化粧品のショップで売ると売れるんですね。そこ、マーケティングとか健康意識っていうところをみながら、これから徐々にビジネスが立ち上がってくるかなと思っています。

◆健康ビジネスはモチベーションを提供すること
 「あと、ビジネスモデルも考えなければいけないので。『B to M to Cモデル』というのを考えました。B(企業)がC(顧客)に対して、マシーン(M)ですね、『血圧計を売ろう』とか『モバイルのスマホを売ろう』というのと違う。健康というビジネスは。BがCに対して、モチベーション(M)を提供するんですね、健康って。血圧計、体重計買ってもらって、1回測っても、改善しない。マシーンを売るのではなく、継続的に使っていただくというモチベーションの仕組みを売るというのが、この健康サービスで重要なこととなってくる。では、『誰がモチベーションを上げんねや』。メディカルの世界では、お医者さんが真ん中に入っていただいて、患者さんとの間を、製薬、薬局とか、いろんなところからお金が出るモデルを作っていくんですね。どっか1個(1カ所)だけやったら、ほかからお金が出ないとビジネスモデルが成り立たない。健康の世界は、真ん中にお医者さん居ないので、モバイルですね。今まではパソコンでやってたけど、今はモバイルですぐ、健康状態がわかります。モバイルが真ん中に来て、より身近になって。機器と連動したり、パートナーさんと提携したりして参ります」。
 竹林氏は、ディスプレー上に「WM(わたしムーヴ)プラットフォーム事業で『ライフスタイル提案』を実現」の図を投影させながら、「その次に、それらのデータを『健康プラットフォーム』に集めて、お客さんから体のデータを預かって、そのお客さんに対して、いかにライフスタイルを提案できるのか、あるいは、こうしたプラットフォームを使って、いろんなパートナーさんがお客様に健康になっていただくような仕組みを提供できるのかというのが重要となってくる」と語る。

◆「ムーヴバンド2」を6月中旬に発売
 竹林氏は、次に投影した図を用いて、「WMプラットフォーム」の構成(さまざまな機器・センサー、新しいアプリ・サービスの開発、アライアンス企業の拡大)を説明した。
 「皆さん、興味があるのが、『今後、ヘルスケア機器とはどんなもんが出てくんねん』って。今まで、血圧計、体重、活動量計、婦人体温計、ねむり時間計、睡眠計、あと、『ムーヴバンド2』って(竹林氏が腕に巻いたムーヴバンド2をかざして)、これですね。これで歩数とか活動量とか、あと、寝てる状態がわかるんですね。これ、今、いろんなところで出始めてますね。実は、さっき『暑い』ゆうて上着脱いだ理由が、これなんですけど、ちょっと宣伝で見えるようにですね、これ発売が来週くらい(6月中旬)になると思うんですが、『上着着てると見えへんな』ゆうて、ちょっと派手な色して来ようと思たんですけど、なかったんで。意識の中にサブリミナル的に根付いたかなと思ってます。こんなんが出てくるんですね。だんだん、心拍であったり、もっと進化していくとですね、体温計も貼るだけになっていきますよね。でも、それが機器レベルです。そのデータを集めて、どんなサービスをセットするのか、総トータルになって新しいビジネスが生まれていくのかなと思います。これが、ねむり時間計『Sleep Design Lite』ですね。化粧品メーカーとタイアップしたやつで、眠りがわかるし、歩数もどっちもわかります。もっと縦型の医療機器のやつもあります。それだと、15分ごとのレム、ノンレムの状態がわかります。睡眠計も面白いんですね。いろんな方のデータ採って、睡眠状態を見たんですけど、有名な禅のお坊さんのデータ採ったんですね。普通、皆さん、レム~ノンレムゆうたら、1時間半で繰り返すといいますが、禅のお坊さんですね、『寝ました、ぐっすり、起きました、すっきり』という感じですね。レム、ノンレムがないんですね。途中ちょっとだけ覚醒はあるんですけど。それくらい(精進)すると睡眠状態も良くなる。まあ、『禅とセットにしてですね、睡眠計出したらどうや』とかですね。たぶん、温かいお風呂でも会社で悩んでたら寝れないですから。そんなん(禅)もセットになるような世界が出てくるかもしれませんし」。

◆進化するハード、センサー
 「オムロンの婦人体温計。あの、女性の皆さん10秒で測れるんです。今まで20秒とか30秒とかね。朝の眠たい時に30秒測っている間に寝てしまいましたとか、今は、10秒で測れますし。デザインも持っててもそれとわからない。センサーというのはものすごく進化していきます。これ、世界初の歩行姿勢計、歩数と一緒にどんなきれいな状態で歩いているかわかるんですね。モデルさんのように歩いてですね、どんな状態で歩いているかがわかるんです。矯正のビデオなんかも付いてまして。ムーヴバンド2(測って気づいて健康に)、これは歩数とか睡眠状態がわかる。これでもっと重要なのは、生活なんですね、どんな生活してるかが、これで採れていく。『この時いっぱい歩いてた』、『この時ちゃんと寝られてへんか』、生活ログなんかが採れていく。これがハードウエアの進化で、心拍採ったり、いろんなものが採れていくし、小さくなっていきますし。これがハードウエアのところの進化です。ただ、じゃあこれ着けてたら健康になれるかというと、またそうじゃない。それとセットにした世界を作っていく必要があるなということです」。

◆測定機器、スマホ、身体に良い仕組みをセット
 「ここ(身体を測る領域)はいろんなメーカーの新しい機器がどんどん出てきます。貼るだけでいろんなことがわかるようになってくるかもしれないですね、赤ちゃんに貼っておくだけで、体温状態がわかるとか、心拍の状態で『今危ないで』。ただこれだけでは元気になれなくって、あと、自分の状態が可視化できるんですね。今どんな状態かというのが目で見える、そのためにスマホとか重要となってきて、それがセットになってきます。もう1つ、身体に良くなる仕組みというのがセットになってくると、ようやく元気になって、対応できるような仕組みになってくる」。

◆身体リズムを測り、受診勧奨と見舞金支給
 「こちらの『カラダのキモチ』というサービスを去年の6月1日に開始したんですね。これ『何してるの』、カラダのキモチというサービスは。先ほどの10秒で測れる体温計が出てきた。ようやく。スマートフォンのアプリの『いつもそばにいる』。これは『ゲームニケーション』感覚で、自分の身体のリズムに合わせて着ていく服とかですね、選べるようなアプリケーションがあるんですね。これ有料なんですけど、これはですね、毎日自分の状態で、女性ってリズムがあるんで、痩せる日とか痩せない日とか、体調の悪い日とか、あるいは鉄分を採らなあかん日とかですね、その状態に合わせたアドバイスが出てきます。実はですね、裏でですね、そのリズムが崩れてないかどうかを見ているんですね。受診勧奨、リズムが乱れてくると病気の可能性があるんです。実は女性、30代、40代の健診率って低いんですね。40代になってから健診率が増えていくんですけども、それは、病気になられたり、体調が悪くなってから行かれるんです。でも、これ体温を測ってもらうだけでですね、まあ、基本的に妊娠とか避妊とかにも使えますし、それ以外にもですね、体調を整えるというアプリなんですけども、実は、そのリズムが乱れてくると、お医者さんへ行ったほうがいいよというマークが出るんですね。で、婦人科に行っていただくとお見舞金が出るんですね。病気とか病気じゃないに関係なく。で、再検査とか必要となれば、何万円というお見舞金が出ます。これが、東京海上日動さんとセットになってて、要はお見舞いするという仕組みを込みでですね、対応しているんですね。今までは、婦人体温計とか計測に1分かかってたから、サービスできない。簡単に朝起きて、データ上げて、スマホで見て、それセットして、もう1つですね、バックで見守るという仕組みも込みでサービスとしてご提供させていただく。多分、こういうサービスとしての提供が出てきて、そこに、進化したこういう機器がどうタイアップしていくのかというのが今後、出てくると思います」。
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