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藤沢市民病院、災害に強く地域に開かれた新病院を建設中


新東館の本体工事や西館の改修などを進め、17年12月に全事業完了

2014/7/15

再整備後の全体図
再整備後の全体図
 藤沢市民病院(神奈川県藤沢市藤沢2-6-1、Tel.0466-25-3111)は、敷地内で災害に強く地域に開かれた病院などをコンセプトとする再整備事業を進めている。7月現在は新東館の本体工事に着手しており、2015年8月までに完成させ、同年9月に外来ホールなど一部を除き供用開始する予定だ。その後西館の改修も行い、16年8月までに東館8~9階、北西部分を解体する。中央棟や新東館の外来ホールを17年7月までに建設し、同年10月に東館を解体、新東館のエントランスの建設および外構工事を行い、同年12月に事業完了となる。
 同病院は1971年の開設以来、地域の基幹病院として高度医療を担い発展してきた。診療科目は29科目(循、呼、消内、腎、神内、糖・内分内、血膠、精神、皮、消外・専外、呼外、心血外、脳外、整外、形外、泌、眼、耳、歯、産婦、リハ、放、画診、病診、麻、緩、臨、救、小)を標榜。病床数は536床となっている。地域がん診療連携拠点病院や、救命救急センター、小児救急24時間などの救急医療体制は、40万人都市でもある藤沢市の地域完結型の医療を目指す上で欠かすことのできないものとなっている。
新東館の建設現場
新東館の建設現場
 しかし、71年の開院時に本館として建設された東館は築40年以上が経過し、過去に耐震強度の不足が指摘された際に柱補強工事を行ったものの、施設の老朽化・狭隘化は否めず、患者へのアメニティーや療養環境も十分であるとは言い難い状況にある。また、医療制度や診療報酬の改正をはじめ、地域の人口構造の変化や高齢化に伴う疾病構造の変化など、同病院を取り巻く環境は開院時から大きく変化している。これらのことから、早期に再整備を行い、施設の老朽化などに起因する医療提供上の課題を解決するとともに、将来を見据えて今後求められる高い医療水準や医療環境の変化にも応えられる施設づくりを推進することとなった。
 これまでの経過を見ると、市民病院再整備・経営検討委員会を発足し、病院再整備事業の方針など検討を重ね、10年10月に同委員会からの最終答申があり、同年12月に市の方針を市議会に報告を行った。11年1月には再整備事業の基本構想・基本計画の策定の準備を開始し、同年10月に公表。12年3月に設計施工一括発注・公募型プロポーザルで、大成建設横浜支店、日本設計のグループを選定した。同年5月から再整備事業に着手し、13年3月には立体駐車場エレベーター、同年7月には別館1、救急ワークステーションの供用を開始した。同年8月から行っていた東館北側の付属建物の解体と新東館の建設準備工事を進め、12月から本体工事に着手し、現在は基礎工事を終えて地下構造物の築造を行っている。
 すでに供用を開始している別館1は地上5階建てで、職員食堂やカルテ庫、更衣室などを設置した。更衣室のある5階は新東館4階と接続する計画で、職員は別館1で更衣後、管理部門が多く設置される予定の新東館4階へ向かうこととなる。救急ワークステーションには藤沢市消防局の救急隊1隊(救急車1台)が常駐しており、救急出動を行っている。迅速な手当てにより患者の救命率向上が図られるよう、医師の救急車同乗も行える体制となっている。また、救急救命士の研修の場としても活用されている。
 15年10月に外来ホールとエントランスを除いて供用を開始する新東館は、RC造り9階建ての免震構造。免震装置はアイソレーター(ゴム支承、すべり支承)、オイルダンパーで構成し、地震で発生した揺れを軽減する。洪水などで発生する恐れのある浸水の対策として地下階も設置しない。また、通路やホールなどには6mごとに非常用電源を設置する。これらにより、堅牢で一時も病院機能が停止しない病院を目指す。
 外来診療室を1~2階に配置し、1階には各種相談室、コンビニエンスストアなど、2階に患者や面会者が利用できるカフェ、採血・採尿室、外来事務室、リハビリセンターなどを配置する。3階には、画像センター(放射線診断、内視鏡、生理検査)のほか、クラス10000の手術室2室を配置する。新東館の手術室では部分麻酔などで可能な比較的容易な手術を行うが、エキスパンションジョイントで西館3階と接続することで、同階にある高度な手術に対応できる中央手術室との連携を図る。4階には医局、図書室、会議室、諸室、当直室などのほか、市民を対象とした公開講座などを行う市民講習室を配置する。また、同室は震災など非常事態が発生した場合に災害本部として機能する。5階はMEセンター、栄養室、リネン室、臨床検査部門、事務室、治験室、備蓄倉庫、物品管理室など、6~8階は計276床の病床となる。病床数は東館と変わらないが、個室、4人床それぞれ現在の1.63倍、1.58倍を計画しており、ゆとりのある病室で療養できる。
 新東館の完成後に西館の改修も計画している。西館はリニアック室、中央手術室、MRI室、ICU・CCUなど病院の中枢機能を集積した棟で、89年に増築された。15年9月に西館の病床機能を新東館もしくは東館に移転し、現時点では配管類や空調類の改修、床の段差を無くすといったバリアフリー化などを計画している。
 西館の改修後に3~4カ月をかけて、東館と西館に接続している低層部分を解体し、建物バランスを考慮して東館高層棟(8~9階)も解体する。解体完了後、新東館と西館の間に中央棟を建設し、新東館の外来ホールも建設する。いずれも17年7月までの完成を予定している。同年10月までには東館を解体し、新東館のエントランスを建設するほか、外構工事を施す。外構工事によって東館跡地は47台分(うち身障者用15台)の駐車場となる。これにより、病院の駐車場台数は、既存の立体駐車場(291台分)と合わせて338台分に増加するほか、現在は手狭なタクシープールも拡張され、余裕を持って駐車できるようになる。全事業の完了は17年12月を計画している。なお、診療科目は現在の29科を維持する。病床数も536床と現在と変わらない。
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