■発刊趣旨とご購入のご案内

　2014年の液晶、有機ELに代表されるFPD（平面型ディスプレー）の市場は、液晶テレビの価格下落は継続しているものの、フルハイビジョンの次世代品である高精細4K2Kパネルテレビ市場の拡大に伴うパネルの大型化により、前年比数％増の成長となりました。すでに成熟期を迎えている同市場は、今後も1桁台％の微増成長を継続していくと思われます。各セットメーカー、パネルメーカー、部材メーカーともに完全な勝ち組が存在するわけではなく、業界全体でしのぎを削りながら、また、連携を取りながら低価格化競争に身を投じています。
　テレビパネルでは中国を中心とした大型投資案件が活発化し、15年以降も投資については引き続き底堅く継続される見込みです。高精細・高性能な新しいテレビ製品が実に短期間で価格下落する市場ではありますが、各メーカーは着実に次の手を打ってきており、これゆえ、成熟市場ならではの小幅伸長をこの先も継続していくと思われます。
　相変わらず旺盛な生産計画を持つ中国パネルメーカーですが、アモルファスシリコンTFTのテレビ用パネル生産への取り組みだけでなく、低温ポリシリコンTFTや有機EL対応工場の立ち上げにも注力しています。韓国などのパネルメーカーも、生産を中国拠点にシフトさせ、同国の生産動向は多方面から注視されています。
　近年、業界市場を爆発的な勢いで牽引してきたスマートフォンやタブレット端末向けの高精細中小型パネルへの需要と設備投資は好調ではありましたが、スマートフォンについては先進国で需要に一服感が見られるようになってきました。タブレット端末についてはスマートフォンほどの勢いは得られず、中小型市場はスマートフォンが牽引している状態です。とはいえ、15年の低温ポリシリコンTFTの生産量は一時的に不足するのでは、との懸念もあると同時に、中国メーカーを中心としたローエンドスマートフォンの旺盛な製品展開により、アモルファスシリコンTFTの小型化、高精細化も進むと見られます。
　有機ELに関しては、残念ながら国内メーカーはテレビの量産化を断念し、韓国メーカーの意欲もトーンダウンしたように見られます。しかし、新たにフレキシブル・ベンダブルディスプレーといった概念の中で有機ELパネルは有力視されて開発が進められており、また、日本では新しく有機EL専門会社が設立されるなど、今後の各成果に期待したいところです。
　本書は、FPD業界をマクロ的な視点から、またこれに参入している個別メーカーのミクロなデータを一冊にまとめ上げ、毎年ご好評をいただいているロングセラーです。13年度版まで『液晶・EL・PDPメーカー計画総覧』として展開してまいりましたが、14度版から『電子ディスプレーメーカー計画総覧』に改題いたしております。主要FPDの網羅と、パネル別・各社別に市場戦略や設備投資計画、研究開発の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾・中国の最新事情も収録し、世界のFPD産業を体系的に捉えた総合書に仕上げております。FPDメーカーおよび関連業界各社の取材・執筆・編集には、弊社が発行する『電子デバイス産業新聞』編集部が当たりました。読者諸賢のご批判、ご助言、ご叱正をお願い申し上げます。

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■内容構成