■発刊趣旨とご購入のご案内

　2013年の液晶、有機EL、PDP（プラズマディスプレーパネル）に代表されるFPD（平面型ディスプレー）の市場は、液晶テレビの継続的な値下がりと販売の低迷に伴い、前年比横ばいレベルの成長となりました。各セットメーカー、パネルメーカー、部材メーカーともに完全な勝ち組が存在するわけではなく、業界全体でしのぎを削りあいながら低価格化競争に身を投じています。
　しかしながら、大型パネルでは中国を中心とした大型投資案件が動き始め、14年も投資については引き続き底堅く継続される見込みです。また、フルハイビジョンの次世代品である高精細4Ｋ2Ｋパネルテレビの量産化が活発化し、それに伴うインチサイズの大型化も進展すると見られます。高精細・高性能な新しいテレビ製品が実に短期間で価格下落する市場ではありますが、各メーカーは着実に次の手を打ってきており、これゆえ、成熟市場ならではの小幅伸長をこの先も継続していくと思われます。
　相変わらず旺盛な生産計画を持つのが中国のパネルメーカーです。引き続きアモルファスシリコンTFTのテレビ用パネル生産に取り組んでおり、15～16年に予定されている中国やインド、ロシア、ブラジルといった大国の地デジ移行（アナログ停波）に向け、新たな市場を立ち上げつつあります。すでにテレビのボリュームゾーンサイズの生産は中国勢が担っており、また、低温ポリシリコンTFT工場の立ち上げにも着手しております。韓国などのパネルメーカーも、生産を中国拠点にシフトさせる動きが見られ、同国の生産動向は多方面から注視されています。
　近年、業界市場を爆発的な勢いで牽引してきたスマートフォンやタブレット端末向けの高精細中小型パネルへの需要と設備投資は好調ではありましたが、ハイエンドスマートフォンについては需要に一服感が見られるようになってきました。タブレット端末についてはスマートフォンほどの勢いは得られず、今後の各社戦略に期待がかかるところです。とはいえ、14年の低温ポリシリコンTFTの生産量は不足するのでは、との懸念もあると同時に、中国メーカーを中心としたローエンドスマートフォンの旺盛な製品展開により、アモルファスシリコンTFTの小型、高精細化も進むと見られます。
　有機ELに関しては、残念ながら国内メーカーはテレビの量産化を断念し、韓国メーカーの意欲もトーンダウンしたように見られます。しかし、新たにフレキシブル・ベンダブルディスプレーといった概念の中で有機ELパネルは有力視されて開発が進められており、今後の研究成果に期待したいところです。
　本書は、FPD業界をマクロ的な視点から、またこれに参入している個別メーカーのミクロなデータを一冊にまとめ上げ、毎年ご好評をいただいているロングセラーです。これまで、『液晶・EL・PDPメーカー計画総覧』として展開してまいりましたが、今年度版から『電子ディスプレーメーカー計画総覧』に改題いたしました。主要FPDの網羅と、パネル別・各社別に市場戦略や設備投資計画、研究開発の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾・中国の最新事情も収録し、世界のFPD産業を体系的に捉えた総合書に仕上げております。FPDメーカーおよび関連業界各社の取材・執筆・編集には、弊社が発行している国内唯一の半導体業界専門紙『半導体産業新聞』編集部が当たりました。読者諸賢のご批判、ご助言、ご叱正をお願い申し上げます。

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■内容構成