(医)社団 康明会(東京都日野市豊田2-32-1、Tel.042-584-5251)は12月1日、東京都立川市にサービス付き高齢者向け住宅「風のガーデンたちかわ」を開業した。同施設は、35戸を設置し、東京都医療・介護連携型サービス付き高齢者向け住宅モデル事業第11号となる。看護師、介護士が常駐し、週1回の訪問診療を受けることができる。2010年に開業した「風のガーデンひの」の運営を踏まえてつくり上げた。同法人では、条件次第で新しい施設を開業していく。
「風のガーデンたちかわ(以下、たちかわ)」が開業したのは東京都立川市錦町3-6-23で、JR立川駅から徒歩7~8分の場所。立川駅といえば、様々な商業施設が立ち並ぶ賑やかな街だが、「たちかわ」は閑静な場所に位置する。
◆都の医療・介護連携サ高住のモデル事業に選定
今回の東京都医療・介護連携型サービス付き高齢者向け住宅モデル事業とは、医療、介護、住宅が連携して施設を運営する事業。東京都の12年度の公募により、同法人も選定された。
同法人は、10年に同事業第1号として「風のガーデンひの(以下、ひの)」をオープンしており、今回はそれに続く2施設目となる。
同施設は、医療、介護、住宅の連携を掲げていることから、サービスの厚さが特徴。その1つとして看護師・介護士の24時間常駐が挙げられる。居住者の日常ケアや医療ケアの手伝いを行う。また康明会ホームケアクリニックと連携し、週1回の訪問診療を受けることができるため、安心・安全に暮らせるという特徴もある。
施設の規模はS造り3階建て延べ1526m²。35戸(1部屋あたり約18m²)を設置する。各フロアの作りを見ると、1階には居室7室、食堂・キッチン、デイサービス、洗濯室、介護浴室、機会浴室などを設置する。デイサービスは、ベッド、機械浴室などを設置しており、リハビリテーションなどを行うことができる。将来的には、居住者以外の利用も受け入れる予定だ。
2~3階は居室14室、食堂・キッチン、浴室などを設置する。
◆「ひの」の運営をふまえて施設作り
あえてキッチンと風呂をなくして
シンプルな居室とした
今回、「たちかわ」を開業したが、同施設は1施設目となる「ひの」の運営を踏まえた施設作りを行った。
その1つが居室をシンプルな造りにしたこと。「ひの」では、居室内にキッチン、風呂などを設置しているが、運営してみると使わない人も多い。そこで、「たちかわ」では、洗面台、トイレなど機能を絞り込んだ居室とした。居住者が料理を作る際は、各階にあるIHヒーター付きキッチン、冷蔵庫などが使用可能。浴室は共同浴室を設置して、不便にならないようにしている。
また、居室内の呼び出しボタンは、「ひの」では1つしか設置していないが、「たちかわ」では2つ設置できる。2つ設置することで、ベッドや椅子、机など室内の広範囲でボタンを押せるようにした。
入居費用は、月額21万6522~26万622円。内訳は、賃料8万7500円(南向き)もしくは8万6500円(北向き)、基本サービス(安否確認、緊急時対応、生活相談、健康管理など)が4万2000円、基本附随サービス(排泄介助、食事介助、服薬管理など)が2100~4万6200円、食事5万1000円など。このほか薬代や介護保険代などは別費用となる。
なお、食事はオプションサービスで、サンスマイルキッチンの配食となる。「ひの」では、セブンイレブンなどの宅食サービスを利用する居住者も多いという。
また、このほかオプションサービスでは、タブレット端末の「とりえ」の使用が可能。「とりえ」はサービス付き高齢者向け住宅向けのICTサービス。テレビ電話やメールのほか、レンタル書籍、将棋、麻雀、俳句、百人一首などのアプリケーションが利用できる。
◆日野市近隣で施設展開を構想、サブリースで
今回、康明会は「たちかわ」を開業したが、将来的には新たな施設を作る方針。立地としては法人本部がある日野市近隣で、規模は40室程度が理想。また、施設の作りは、「たちかわ」のように1フロアを広く確保できる施設とすることを希望している。1フロアを狭くして上に積み上げる造りにすると、職員が施設内を移動する際、負担になるためだ。
「たちかわ」は30年間の契約のサブリース形式で運営しているが、今後もサブリース形式で開業する方針だ。問い合わせはこれまでに複数寄せられており、同法人は条件を吟味しながら新しい施設を企画していく。